『世界一わかりやすい「論語」の授業』

一条真也です。

昨日のブログ記事の最後に「朋あり、遠方より来たる、亦た楽しからずや」という言葉を紹介しました。これは、『論語』の一番最初に登場する非常に有名な言葉です。
さて、ついに『世界一わかりやすい「論語」の授業』(PHP文庫)の見本が出ました。
わたしにとっては、『論語』そのものについての初めての著書になります。


                  孔子先生による白熱LIVE!


論語』は、孔子とその弟子の言行を弟子たちがまとめた書物です。
孔子は、紀元前551年、現在の中国に生まれました。
同じ聖人であるブッダとほぼ同時代の人で、ソクラテスより80数年早いですね。
千数百年にわたって『論語』は、わたしたちの祖先に読みつがれてきました。
意識するしないにかかわらず、これほど日本人の心に大きな影響を与えてきた書物は他に存在しません。とくに江戸時代に徳川幕府儒学を奨励するようになると、必読文献として、武士階級のみならず、庶民の間にも広く普及しました。
「君子」という言葉が『論語』には多く登場します。
初めは地位のある人を、後に徳のある人を指す言葉になりました。
君子は、いわゆる最高の人格者である聖人とは異なります。あくまで現実社会に存在する立派な人格者で、生まれつきなれるものではありません。『論語』の憲問篇に「君子は上達す」とあるように、努力すれば達しうる境地、それが君子なのです。


                   5人の弟子が登場します


儒教とか君子とかいうと、孔子は堅苦しくストイックな印象があるのかもしれませんが、大いに人生を楽しんだと思います。何しろ、酒を飲み、きれいな色の着物を好み、音楽を愛した人でした。『論語』には「楽しからずや」「悦ばしからずや」といったポジティブな言葉が多く見受けられます。仏典や聖書には人間の苦しみや悲しみについては出てきても、楽しみや喜びなどはまず見当たりません。
この点、『論語』にポジティブな言葉が多いのは、本当にすばらしいことだと思います。
また、『論語』に出てくる孔子は完全無欠な聖人としてではなく、血の通った生身の人間として描かれています。そして、孔子は何よりも偉大な先生でした。
たとえば、弟子それぞれによって教え方を変えたりしました。
すなわち、相手に一番ふさわしいメッセージを与えたのです。
本書には、タイプの異なる5人の弟子が登場します。
きっとこの本を読むあなたに似た弟子が必ず見つかると思います。



わたしは現在、北陸大学の客員教授として、「孔子研究」の授業を担当しています。
学生の中には、孔子を生んだ国である中国や儒教が盛んな韓国からの留学生もたくさんいます。彼らに孔子が残したメッセージをわかりやすく伝えるため、わたしは黒板に『論語』の一節を書き、身振り手振りをまじえ、ゆっくりとした日本語で説明しています。
日本人のみならず、中国人や韓国人の「こころ」のDNAの中には、孔子が説いた「人の道」がきっと生きていると信じています。


                  5つの授業から構成されています


本書は、「論語」学校の次の5つの授業から構成されています。
1限目  下学上達〜成長するため、学び続ける
2限目  人間関係〜他者から信頼、尊敬される
3限目  率先垂範〜先頭に立ち、指導力を発揮する
4限目  成功哲学〜目標を定め、達成する
5限目  礼儀作法〜日々の生活を円滑にする
そして、それぞれの授業ごとに『論語』の金言を紹介。
さらに、わたしの超訳を加えた上で解説しています。


                    6大特長があります


本書には、類書にはない、次の6大特長があります。
1.テーマ〜この授業で、何について学べるかが、ひと目でわかります。
2.金言〜『論語』に収録されている孔子の教え(金言)を紹介します。
3.超訳〜金言を現代風に解説しています。金言とセットで読みましょう。
4.授業内容〜金言をもとに、孔子が「人として大切なこと」を教えてくれます。
5.補習授業〜この授業でいちばん大切な教えを、孔子と生徒が確認します。
6.授業のキーワード〜授業に出てきた重要な単語をわかりやすく説明します。

 
                 「わかりやすさ」を追求しました


本書は、造事務所さんの編集協力により、マンガを取り入れるなど、とにかく「わかりやすさ」を追求しました。やはり造事務所と一緒に作った『開運! パワースポット「神社」へ行こう』(PHP文庫)と同じく、つぼいひろき氏がマンガを描いてくれています。
おかげさまで、類書を圧倒する非常にポップな『論語』入門書になったと思います。
どこからでも気軽にページを開き、楽しみながら『論語』の魅力を味わって下さい。
論語』は全部で20篇あり、512の短文が収められています。その中でも、特に現代人が指標生きるうえでの指標となる金言を100程度選びました。
なお、書き下し文は岩波文庫論語』(金谷治訳注)を参考にしています。
本書を読まれた方が、社会の中で幸せに生きるための言葉に1つでも多く出会い、その言葉が一生の宝物となることを願っています。


                  実際の「孔子研究」授業風景


大山倍達は「空手バカ一代」ですが、わたしは「論語バカ一代」を目指しています。
ブログ「論語三昧」に、わたしの『論語』への傾倒ぶりが書かれています。
論語』ブームの今、はっきり言って類書は多いです。しかし、「論語バカ一代」が書いた『世界一わかりやすい「論語」の授業』をぜひ御一読下さい。
来月4日ぐらいから全国主要書店の店頭に並ぶ予定です。


2011年11月26日 一条真也