孔子の子孫

一条真也です。

東京に来ています。
今日は、11時から赤坂見附のホテルで素晴らしい方とお会いしました。
孔子の第75代子孫であり、社団法人・世界孔子協会の会長である孔健氏です。


孔子の第75代子孫である孔健



孔健氏は、ご先祖様である孔子のイメージそのものの方でした。
すなわち、「叡智」と「人間的魅力」を兼ね備えられた方でした。
わたしが人類史上の中でも最も孔子をリスペクトしていることは御存知かと思いますが、その直系の子孫の方にお会いするということで、非常に緊張しました。
ブログ「四大聖人と日本人」にも書いたように、孔子といえば「世界の四大聖人」の1人ですが、ブッダやイエスソクラテスの子孫というのは聞いたことがありません。孔子の子孫のみがこの世に実在しているということは物凄いことだと思います。
それは、まさに孔子が開いた儒教の説く「孝」の実現に他なりません。



ブログ『何のために論語を読むのか』でも紹介した孔健氏は、1958年生まれです。
孔子直系の第五家系藤陽戸75代当主として生を受けられましたが、孔子家では物心がつくと同時に学問を叩き込まれるそうです。
孔健氏も4歳のときから祖父より『論語』をはじめとした「四書五経」を学ばれたとか。
長じて山東大学日本語学科を卒業、85年に来日されています。
96年には日本において「週報チャニーズドラゴン新聞」を創刊、孔子思想の普及、日中経済交流の促進および日中関係の改善に努めてこられました。
著書も多く、テレビにも数え切れないほど出演されている有名な方です。
社団法人・世界孔子協会の会長として、昨年からは「孔子文化賞」を創設されました。
第1回目は、プロ野球東北楽天名誉監督で野球評論家の野村克也氏、ワタミグループ創業者の渡邉美樹氏、 SBIホールディングスの北尾吉孝代表取締役執行役員CEO、比叡山延暦寺大阿闍梨酒井雄哉氏の4名が受賞されています。
第2回目の授賞式は、今月2月28日に目白の椿山荘で開催されるそうです。


孔健氏から頂戴した『日中英対訳 新版 論語



ありがたいことに、孔健氏は小生のことをよく御存知でした。
孔子とドラッカー 新装版』(三五館)や『世界一わかりやすい「論語」の授業』(PHP文庫)などの拙著をお読み下さったそうです。
今日は、『日中英対訳 新版 論語』(儒教伝播協会)という立派な本を頂戴しました。
わたしは三五館の星山佳須也社長と一緒だったのですが、星山社長が『ホスピタリティ・カンパニー』(三五館)を孔健氏に渡して下さいました。
同書は本名の「佐久間庸和」として書きましたが、孔健氏は「庸和」という名前を気に入って下さり、『日中英対訳 新版 論語』の扉に「中庸之和」と書いて下さいました。


本の扉に「中庸之和」と書いて下さいました



「庸和」という名は、祖父の栗田光十郎がつけたそうです。
「庸」と「和」は同義語に近い文字であり、ともに非常に深い意味を持っています。
そして、いずれも『論語』を出典としています。
雍也篇に、「子曰く、中庸の徳たるや、其れ至れるかな」があります。
「先生が言われた。中庸の道徳としての価値はいかにも最上である」の意味ですが、この中庸というコンセプトは後に四書五経の1冊をなす『中庸』の誕生につながりました。中庸について、朱子は「中とは過不足のないこと、庸とは平常の意」と記しています。
「和」といえば聖徳太子の「和を以って貴しと為す」が有名ですが、実はこの語句の出典も『論語』です。「有子曰く、礼の用は和を貴しと為す」が学而篇にあります。
「有子が言われた。礼のはたらきとしては調和が貴いのである」の意味で、聖徳太子に先んじて孔子がいたのです。



この「庸」と「和」を合体させて「庸和」とした祖父のセンスはただごとではないと最近つくづく感じます。祖父は『論語』を愛読していたそうですが、ともに『論語』に由来する2字から成る庸和という名を持つわたしは、『論語』の子と言えるかもしれません。
そして、祖父はもうひとりの『論語』の子を世に送り出しました。松柏園ホテルです。
「子曰く、歳寒くして、然る後に松柏の彫むに後るることを知る」が、子罕篇にあります。
「先生が言われた。気候が寒くなってから、はじめて松や柏が散らないで残ることがわかる」と訳しますが、春や夏で樹木がみな緑のときは、松や柏といった常緑樹の青さはあまり目立たない。しかし、しだいに寒くなり、他の木がすべて落葉した時節になると、はじめて松柏の輝きが目立つという意味です。
転じて、人も危難のときにはじめて真価がわかると孔子は言いたかったのでしょう。
この「松柏」から命名されたのが、わが社の発祥でもある松柏園ホテルなのです。
いつか、孔健氏をぜひ松柏園に御招待させていただきたいと思います。


憧れの方との初顔合わせでした(撮影:星山佳須也



孔健氏は、「庸和」や「松柏園」というネーミングに大変興味を持って下さいました。
また、「サンレー」というわが社の社名が「讃礼」という意味であること、わが社のスローガンが「天下布礼」であることもお伝えすると、「うーん、素晴らしいですね」と言って下さいました。さらに今日、孔健氏から非常に有難いお言葉を頂きました。
でも、それはここでは内緒にしておきます。
きっと、近いうちにビッグニュースをお伝えできるのではないかと思います。
かねてから敬愛させていただいていた孔健氏にお会いして、わたしは孔子の「人間尊重」思想を世に広める「天下布礼」の道をさらに突き進みたいと心から思いました。


2012年2月2日 一条真也



*当ブログのすべての文章および写真の無断掲載を禁じます。
*当ブログにリンクを貼る場合は必ず事前承認をお願いいたします。
*当ブログ管理者へのご連絡、記事のご意見、ご感想などは、
公式サイト「ハートフルムーン」のメール機能をお使い下さい。