「五月晴れ」と「有縁」

一条真也です。

おはようございます。東京に来ています。
今朝の東京は素晴らしい晴天です。昨日は、じつに変な天候でした。


今朝の東京は素晴らしい晴天です



昨日は14時から新橋で全互協の委員会がありました。
その頃から急に空が暗くなり、豪雨になりました。
わたしは雨が降り始めた瞬間に、全互協の本部のあるビルに飛び込みました。
17時頃に終了して外に出ると雨は上がっていました。
でも、なんだか寒いのです。今朝のニュースを見ると、午後の2時間で気温が24度から17度へ、なんと7度も下がったそうです。




ニュースでは、ちょうど新橋での豪雨と気温差が取り上げられました。
関東一円では「ひょう」も降り、竜巻の注意報も出されたそうです。
まさに、「異常気象」としか言う他はありませんね。




でも、今朝の東京の空は見事に晴れ上がっていました。
「五月晴れ」という言葉が思い浮かびますね。
でも、この言葉、けっこう間違った使い方をされているようです。
「さつきばれ」と読む場合は、6月(陰暦の5月)の梅雨時に見られる晴れ間をさします。
しかし、もともとは誤用だそうですが、「ごがつばれ」と読む場合は新暦5月の晴れの日をさします。日本語は、なかなか難しいですね。



日本語の読み方といえば、「有縁」という言葉について、よく意見を求められます。
流行語にもなった「無縁社会」に対して、「有縁社会」という言葉があります。
じつは昨日の会議でも、新刊『無縁社会から有縁社会へ』(水曜社)についての議題がありました。全互協編で、「無縁社会シンポジウム」の内容を単行本化するのです。
「有縁社会」は、「うえんしゃかい」と「ゆうえんしゃかい」という2つの読み方をされます。
広辞苑』などの辞書では、「有縁」は仏教用語として「うえん」と読まれています。
でも講演やスピーチなどで話す場合、「うえん」では「むえん」と聴き間違えられる危険があります。そこで、わたしは事前に断った上で、意図的に「ゆうえん」と言うことが多いです。これなら一発で意味がわかるからです。



「うえん」と読んでいる人には僧侶など仏教関係者が多いようです。
もともと「無縁」も「有縁」も仏教用語ですが、僧侶には訓読みにするという習慣があるようなのです。一般的に「ちょくそう」と読まれている直葬をわざわざ「じきそう」と読んだりすることなどが好例です。もしかしたら僧侶の世界では、「音読みするのは俗人」という考え方があるのかもしれません。



「うえん」か「ゆうえん」か・・・・・この問題は、ブログ「受賞祝い会」に書いた食事会でも議論が交わされました。北九州市立文学館今川英子館長は、あくまで「うえん」という読み方が正しいとおっしゃられていました。
朝日新聞社西部本社の宮川政明代表は、わたしが訴えている「有縁社会」は封建的な印象の強い(戦前に代表される)従来の有縁社会とは違う新しい意味での有縁社会なのだから、「うえん」ではなく「ゆうえん」がふさわしいと思うと言って下さいました。
わたしも、単なる仏教用語としての「うえん」とは違うニュアンスを「ゆうえん」には感じます。それで、今川館長の言われることもよく理解できるのですが、あえて「うえん」と「ゆうえん」を使い分けている次第です。それにしても、文学館館長と新聞社代表を相手に言葉についての議論をさせていただくなんて、なんと贅沢なことでしょうか!
みなさまとの御縁をいただいたことに、ただただ感謝するばかりです。
今日は、これから同じく新橋で開催される全互協の臨時理事会に参加します。


2012年5月11日 一条真也