『超常現象の科学』

一条真也です。

『超常現象の科学』リチャード・ワイズマン著、木村博江訳(文藝春秋)を読みました。
ブログ『運のいい人の法則』で紹介した本と同じ著者ですね。


なぜ人は幽霊が見えるのか



本書には、「なぜ人は幽霊が見えるのか」というサブタイトルがついています。
そう、最先端科学実験が明かすヒトの認知システムの盲点を明かした内容ですね。
じつは、わたしはこの手の「オカルトを科学する」系の本が好きです。
これまで国内で出版された本はほとんど読んでいるくらいです。



本書の「目次」は、以下のようになっています。
「あなたの知らない世界へ」
第1章:占い師のバケの皮をはぐ
第2章:幽体離脱の真実
第3章:念力のトリック
第4章:霊媒師のからくり
「コーヒーブレイク」
第5章:幽霊の正体
第6章:マインドコントロール
第7章:予知能力の真偽
「おわりに」
特別付録「これであなたも超能力者」
「謝辞」「訳者あとがき」
「参考文献」「参考動画」



本書の表紙カバー折り返しには、「最先端科学実験が明かすヒトの認知システムの盲点」として、以下の記述があります。
●幽霊
イギリスの古い宮殿に夜な夜なあらわれる有名な幽霊の正体は、掃除夫だった。
●占い師
「百発百中の占い師」の正答率を計算すると、一般人のそれと変わらなかった。
幽体離脱
ヒトの認知システムは混乱しやすい。
鏡に映ったゴム製の義手を「自分の手」だと錯覚してしまう実験を紹介。
●念力と超能力
脳は「見たいもの」しか見ない。その虚を突くトリックをマスターすれば、誰でもスーパーマンになれる。
●予知夢と予言者
統計学の「大数の法則」とレム睡眠のからくりを知れば、予知夢などないことが証明される。



以上の記述を読めば、本書の内容はだいたい想像がつくでしょう。
占い師、超能力者、予言者、体外離脱、幽霊、ポルターガイスト、降霊術、カルト教団などなど、人々が騙されるシステムを脳の構造から説明しています。
では、なぜ、わたしたちは騙されるのか? 「あとがき」で、著者は「人類が進化の過程で身につけた能力」として、次のように述べています。
「たとえば、あなたが荒野にいたとき、風のせいで近くの藪がカサコソ音を立てたとする。しかもあなたは、その付近には腹を空かせたトラが何頭もうろついているという噂を聞いており、トラが同じような葉ずれの音をさせるのを知っている。あなたは二者択一を迫られる――葉ずれの音を風のいたずらと考えてその場を動かないか、おそらくトラだと判断して逃げ出すか。当然ながら、長生きするためには安全をとってトラ説に傾くほうがいい。諺にもあるではないか、飢えたトラに出くわすよりは、風から逃げるほうがまし」



マジシャン出身の心理学者だけあって、著者は具体例を多くあげて説明します。
もちろん類書にすでに書かれてある内容も多いですが、本書で初めて知った事実もたくさんありました。好感が持てるのは、「超常現象を否定するのではなく、超常現象を楽しもう」という著者の柔らかい姿勢です。とはいえ、カルト宗教などには厳しい目を向けており、マインドコントロールの危険性も強調しています。
洗脳の具体的なテクニックと、それから身を守る方法も詳しく書かれています。
さらには最後に「これであなたも超能力者」という特別付録があり、読心術、念力、幽霊を呼び出す儀式、マインドコントロールなどの方法がコンパクトに紹介されていますが、これがなかなか笑えます。わたしが期待していた「グリーフケアとしての幽霊現象」に関する記述は見当たりませんでしたが、非常に面白く読めた一冊でした。


2012年7月30日 一条真也

BS取材

一条真也です。

今日は、午後から松柏園ホテルでBSの取材を受けました。BSといっても、衛星放送のことではありません。BOOKSCAN(ブックスキャン)です。本についての刺激的なインタビューをネット配信することで知られる、いま話題の電子書籍ベンチャー企業です。


ブックスキャンの取材を受けました


株式会社ブックスキャン執行役員副社長の藤田さん、渉外統括担当でルポライターの沖中さんのお二人が、東京からお見えになりました。
お二人とも非常に若く見えますが、ともに30歳だそうです。
藤田さんは大分県日田市の出身、沖中さんはなんと北九州市出身で北九州市立大学の卒業生だそうです。さらに、沖中さんは学生時代に消防点検のアルバイトをやっており、サンレーグループの施設によく出入りしていたとか。縁は異なものですね!


今日の取材風景



現在、ブックスキャンでは、著名な作家の方々を対象に「本に対する想い」または「未来の電子書籍に望むモノ」をテーマに、インタビューを行っています。
ジャーナリストの田原総一朗氏、NHKサイエンス「ZERO」の司会も務める作家の竹内薫氏、『海猿』の原作者でもある漫画家の佐藤秀峰氏に引き続き、7月公開予定では、ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英氏、内田樹氏、山形浩生氏、福岡伸一氏、小宮一慶氏、田口ランディ氏、橘玲氏、さらにはC.W.ニコル氏、藤原和博氏、神田昌典氏、中谷彰宏氏などのインタビューがラインアナップされています。
詳しくは、こちらをクリックされてみて下さい


今日の取材風景



高名な方々の名前が続いていますが、このたび、わたしにもインタビューの取材を依頼が来ました。まことに光栄なことですが、今日のインタビューは、まずは「現在の仕事について」というテーマから始まりました。続いて、「本との関わり」ということで、直近で読んだ本、人生の転機となった本、いま気になる本などについて質問されました。
さらには、「電子書籍について」ということで、電子書籍の利用シーン、電子書籍の未来、電子書籍に望むもの、電子書籍(電子化)で変わることについて聞かれ、最後に、わたしにとっての「本」とは何かをお話ししました。
なんでも、わたしの本が電子書籍化されることを願っている読者が多いそうです。
そんな話を聞くと、やっぱり嬉しくなってきますね。


向かって左が藤田さん、右が沖中さん



本日のインタビューは、 日本語をはじめ、英語・中国語・韓国語等20カ国語に翻訳された後、サイト上で掲載される予定です。掲載されたら、またお知らせします。
なお、わたしの後は、ノンフィクション作家の森達也氏にインタビューするそうです。
今日は、電子書籍ビジネスの新時代を拓く若き九州男児お二人を相手に本の話がたくさん出来て楽しかったです。お二人には、『龍馬とカエサル』(三五館)などの著書をプレゼントしました。おまんら、電子書籍の夜明けは近いぜよ!


*10月10日、当日のインタビューがUPされました。こちらをクリックして下さい


2012年7月30日 一条真也