こころの未来

一条真也です。
京都大学を訪れました。
同大学の「こころの未来研究センター」で開かれた研究報告会に参加したのです。


           京都大学の正門前で、時計台とタテカンに迎えられて


鎌田東二教授とのご縁で、わたしは同センター「ワザ学研究会」の共同研究員を務めています。センター長である吉川左紀子教授の基調報告「こころとこころはつながるか〜『こころときずな』領域と探求と実践〜」を聴きましたが、大変興味深かったです。
吉川先生は認知心理学における我が国の第一人者です。
特に、人の表情に関する研究で知られています。
その後、わたしは吉川先生に冠婚葬祭業における「笑顔」について質問しました。
人生最良の日である結婚式のお手伝いをする“むすびびと”の笑顔は問題ありません。
でも、“おくりびと”すなわち葬祭スタッフは、どういった表情でご遺族に接すれば良いのか。あまりスタッフが沈痛な表情をするのも作為的で違和感があります。
わたしは、いつも仏像の表情をイメージすればいいのではないかと考えています。
仏像の顔には穏やかな微笑が浮かんでおり、それを見る者は深く癒されます。
でも、吉川先生は、「人間には仏像の表情はできませんよ」とおっしゃいました。
とても考えさせられました。
愛する人を亡くした人へ、どのような表情で接するべきか。
吉川先生は、真摯に答えて下さいました。感激しました。
今後、この学びを大いに生かしてゆきたいと思います。
ターミナルケア研究の第一人者であるカール・ベッカー先生にも久々にお会いしました。
ベッカー先生も「こころの未来研究センター」教授なのです。
今日は、介護ケアワーカーのバーンアウト(燃え尽き)についてのお話を聞きました。
研究報告会終了後の懇親会では、鎌田東二島薗進といった日本を代表する宗教学の権威とお話しました。
島田裕巳著『葬式は、要らない』についてお聞きしたところ、お二人とも未読でした。
そして、鎌田先生は「葬式は必要ですよ」と言って下さいました。
鎌田先生は、「解器(ほどき)」という新しい骨壷の提案をはじめ、新時代の葬送儀礼について真剣に考えておられます。
もともとは鎌田先生と同じく義兄弟である近藤高弘さん(造形美術家、アーティスト)の発案です。もちろん、わたしも「解器プロジェクト」に参加させていただきます。
明日は、鎌田先生とベッカー先生の基調報告を聴きます。
すごく楽しみです。


2010年2月20日 一条真也