東京の止まり木

一条真也です。

桃の節句の今日、東京に出張で来ています。
今夜は、久しぶりに赤坂見附のカラオケ・スナック「DAN」に寄りました。
先日ご紹介したレパードが「小倉の止まり木」なら、DANは「東京の止まり木」です。

これがカラオケ・スナックDANだ!


この店は、わたしの常宿のある赤坂見附の駅のすぐ近くにあります。場所は都心の超一等地なのですが、ひとたび扉を開けると、誰でも驚きます。とても、なつかしい昭和のスナックそのものなのです。温泉街に必ずあるスナックといってもいいかもしれません。熱海にも草津にも別府にも嬉野にもあるような、そんな店です。なんと、ミラーボールまであります。
DANは異次元空間なのです。この異次元空間は、訪れる者の疲れた心を癒してくれます。上品なママさんと、「氷雨」を歌っていた佳山明生にちょっと似ているマスターの息もバッチリ合っていて、二人はとても高レベルのホスピタリティを発揮してくれます。

マスターとママさん


それと、DANのお客さんは、とにかく歌がうまい!
DANで音痴の人に会ったことはありません。
カラオケの順位が出る機械を設置しているのですが、数千人中、数万人中で1位というような人が続出するのです。看板に「カラオケ・スナック」と書いてあるので、歌に自信があるツワモノが集まるのかもしれません。わたしも、けっこう高順位のほうです。(笑)
特に、マーク・ハマーの「夜がくる」、沢田研二の「おまえがパラダイス」、そしてサザンオールスターズの「素敵なバーディー」などは必ず1位を取ります。えっ、「本当か?」ですって。嘘だと思うなら、今度、試してみますか?そのかわり、あなたの奢りですよ。(笑)ご安心下さい。DANは都心のスナックであることが信じられないほどの安さですから。


でも、集まってくる常連のみなさんは、ひとかどの紳士ばかりです。わたしが推察するところ、レコード会社、ラジオ、テレビ、広告などの関係者も多いのではないでしょうか。赤坂見附にはマスコミ各社が集中しているからです。DANでは、隣り合ったお客さん同士が仲良く話しはじめます。そして、誰かがカラオケを歌うと、みんなで合唱したりします。誰かがカラオケで1位を取ると、その場にいる全員にビールを奢ります。まったくの他人同士なのにですよ。


店のルールといえばそうですが、DANには「袖すり合うも多少の縁」という善き心が生きているのです。同じお店に居あわせたという縁、いわば「店縁」でしょうか。それともカラオケの縁ですから「歌縁」でしょうか。昔、「歌声喫茶」というものがあったそうですが、DANはまるで「歌声スナック」です。いずれにせよ、忙しい一日を終えて、夜遅くDANに寄る。わたしにとっての東京出張の大きな楽しみです。DANに行くと、いつも優しい気分になれます。


2010年3月3日 一条真也