スプリング・ガーデン

一条真也です。

今日は、好天の日曜日です。
久しぶりに休みをとって、自宅でゆっくりしました。
とはいっても、原稿書きには追われていますが。
天気が良いので、気分転換に庭に出て、本を読みました。
わたしは、本と花をこよなく愛する人間です。
「書斎」と「庭園」を合わせた「書庭」こそが、わが理想の空間です。

 
                  庭で読書することの幸せ


                    総天然色の世界へ


桜が散る頃、ときを同じくして、秋に球根を植えたチューリップが咲き、パンジーリナリアプリムラといった一年草が花壇を飾ります。
これまでの冬のモノトーンの世界からやっとカラフルな世界が出現するさまは、まるで映画「オズの魔法使い」でジュディ・ガーランド扮する少女ドロシーが愛犬トトと一緒にマンチキンランドに足を踏み入れたとたんに映画が白黒から総天然色に一変する場面を連想させます。そして、目いっぱい色のある庭で、わたしは春の息吹を体じゅうで感じるのです。黄色いモッコウバラも咲きました。もうすぐ、他のバラたちも咲くでしょう。
特に、イングリッシュ・オールド・ローズが咲くのが今から楽しみです。


                   春の息吹を感じる 

                  モッコウバラも咲きました


以前、わたしはリゾート・プランナーをやっていたことがあります。
この世に楽園をつくろうと思って、数多くのリゾート計画に携わりました。
その多くはバブル崩壊などで立ち消えになりましたが、現代人の病んだ心を癒す幸福の空間としてのリゾートは必要だと今でも思います。
そして日本において、リゾート・ブームはガーデニング・ブームにその姿を変えたのだと気づきました。「どこか」に楽園を求めるのではなく、「ここに」楽園をつくるということ。
わたしにとっての楽園とは、家族と一緒に自らつくったマイ・ガーデンなのです。
作家の丸山健二氏は北アルプスの麓で純白の花々から成るホワイト・ガーデンをつくり続けるガーデナーでもありますが、ガーデニング・エッセイ『安曇野の白い庭』(新潮社)に次のように書いています。
「得もいわれぬ安らぎに包まれ、この残酷な世もまだ棄てたものではないと実感でき、こういうところで最期を迎えることができれば申し分ないと思えるような空間。それこそが究極の庭ではないだろうか」
わたしはさすがにその域までは達していませんが、丸山氏の庭園などはもう「天国はこう在るべき」というイメージの具現化なのでしょう。
庭ほど心を豊かにするものはありません。


                   スプリング・ガーデンにて


2010年4月18日 一条真也