前田日明の怒り

一条真也です。

長州力橋本真也の「コラコラ合戦」はいかがでしたか?
2人ともキレたら怖そうですよね。
でも、一番キレたら怖い人は誰でしょう。
そう、それは、この人。前田日明さんですね。
最近、前田さんは民主党からの出馬を辞退しました。
民主党に対して怒り心頭なはずの前田日明さんがどこまで怒るのか。
あの前田日明が、どこまで怒りのパフォーマンスを見せてくれるのか。
わたしは怖いもの見たさでニュースを見ましたが、意外にも冷静な対応でした。
でも、「民主党に貸しはあっても借りはない」「小沢一郎に謝罪してほしい」という言葉はカッコ良かったですね。
かつて、鎌田東二さんが雑誌「スタジオ・ボイス」で前田さんと対談したことがあります。
鎌田さんに前田さんの印象をお聞きすると、「とても知性のある人だった」そうです。
前田さんは大変な読書家で、小林秀雄やシュタイナーを愛読していることで知られていました。『論語』を朗読した「戦うための論語」というCDブックを作ったこともあります。



そんなインテリな前田さんですが、キレやすいことでも有名でした。
雑誌「紙のプロレス」などでのインタビューでは、彼の発言の後にやたらと(怒)というマークがついていたことが印象的でした。
(笑)ではなくて、(怒)ですよ。
そんな前田さん、いざリングに上がったら数々のトラブルの嵐を巻き起こしてきました。
第1次UWF時代の最終戦となったスーパー・タイガー(佐山サトル)戦では、相手の急所にヒザが入ったということで消化不良の結末でしたが、これはセメントになることを危惧した佐山が大人の終わらせ方をしたという見方が強いですね。


第1次UWFが崩壊してから古巣の新日本プロレスに戻った前田ですが、大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントから不可解なセメントを仕掛けられます。
最初は相手の真意がわからず当惑するものの、アンドレのしつこい攻撃に堪忍袋の緒が切れた前田は、ローキックを連発してアンドレの膝を痛めつけました。
最後は、あのアンドレがリングに大の字になってしまいます。
試合はノーコンテストになりました。



そして、同じく「出戻り」で新日本プロレスに帰ってきた長州力を背後から蹴るという衝撃的な事件が起きます。
長州の目はお岩さんのように腫れ上がり、前田とタッグを組んでいた高田延彦が簡単にフォールされて大人の終わらせ方をしました。
この一件を猪木は「プロレス道にもとる」とコメントし、前田は新日本から永久追放となります。その後、あの伝説となった第2次UWFが旗揚げするわけです。


それにしても、ガチンコで戦おうとした相手というのが、長州力佐山サトルアンドレ・ザ・ジャイアントの3人ですよ。
それぞれ、キレたら怖すぎる人ばっかりじゃないですか。
だいたい、いくら相手が仕掛けてきたとはいえ、あのアンドレと喧嘩しますか、ふつう?
アンドレって、身長が223センチ、体重が240キロぐらいあったんですよ、あの当時。
いやあ〜、凄すぎますよ、前田日明
やっぱり、全盛期にマイク・タイソンヒクソン・グレイシーと戦ってほしかった。
こんな危険な男を完全に怒らせて、小沢一郎氏は大丈夫なのでしょうか?
常に何かに対して怒りをぶつけ、常に時代を変革しようとしてきた前田日明
今回の出馬には少しだけ期待していたのですが、また政治とは違った方法で時代に揺さぶりをかけてほしいものです。
ふと気がつけば、貧困社会に無縁社会・・・・・今の社会は絶対におかしいぞ。
そんな社会に対して、今こそ怒れ、前田日明


2010年4月25日 一条真也