天川

一条真也です。

今日は、秋分の日ですね。
わたしは、いま、奈良県は吉野の天川村にいます。
昨夜、京都駅で鎌田東二さんと待ち合わせ、一緒に来ました。
昨夜行われた天河大弁才天社の観月祭に参加するためです。
ご自身の主義により携帯電話を持たない鎌田さんとの待ち合わせは毎回困難を極めるのですが、(笑)昨夜も度重なるアクシデントによって、2時間以上も遅れた末に無事に会うことができました。(泣笑)
京都駅から近鉄特急に乗って橿原神宮駅へ、そこで乗り換えて下市口駅まで。
そこからは、40分ほどかけてタクシーで天川へ向いました。


                  天川で見上げた中秋の名月


残念ながら、すでに観月祭は終わっている時間です。
途中、丹生川上神社の下社に参拝したのですが、そのとき空は曇っていました。
しかし、拝殿に向って二人で拍手を打った瞬間、雲が晴れて見事な満月が顔を出しました。周囲には一つの街灯もなく漆黒の闇が神社を覆っていましたが、満月の光が煌々と吉野の山々を照らし出しました。
わたしは、こんなに美しい満月を見たことがありません。しかも今夜は中秋の名月です。
満月の横には金星まで明るい光を放っています。完璧なる中秋の名月に出会うことができ、わたしは猛烈に感動しました。


                    燃えさかる天河火間

                闇に浮かび上がる「行者」シリーズ


深夜近くに天川に到着したわたしたちは、まず、天河大弁才天社の近くにある天河火間に直行しました。
ブログ「世界一美しい窯」で紹介した、まるで宇宙船のような窯です。
ブログ「解器(ほどき)」に書いたように、ここで新時代の骨壷を焼くのです。
しばらくは、窯の中で燃えさかる火を見つめながら、鎌田さんやスタッフの方々、取材に来られている雑誌記者の方などと語り合いました。
満月の下で、今夜は、トニーさんとリアル・ムーンサルトレターです!
天河火間の隣には、造形美術家の近藤高弘さんによる「行者」シリーズ3部作が闇に浮かび上がっており、国宝級の存在感を放っていました。
「行者 真名井へ」(1997年)、「行者 天地人」(1998年)、「行者 龍神」(1999年)の3体が社殿の左から順番に置かれています。


                      鎌田東二さんと


夜も更けて日付も変ったので、わたしたちは天河火間から民宿まで歩きました。
満月の夜のナイト・ウォークです。天川村には、その名も「天ノ川」という川が流れていますが、そこには天上の「天の川」が写し絵のように投影されると言われています。
実際、昨夜の天ノ川にも夜空の星が映り、本当の「天の川」みたいでした。
もしかしたら川に満月も映っているかもしれないと、わたしたちはしばらく川沿いに歩き回りましたが、最後は道が通行止めになっており、水面の月を見つけることを断念しました。二人とも、とんだ「ロマンティックおやじ」ですよね。(笑)
民宿に戻ると、隣室に寝ておられる「東京自由大学」の御婦人たちに気を遣いながら、鎌田さんとわたしは仲良く布団を並べて寝たのでありました。


                   早朝の天河大弁才天


明け方、5時過ぎに、ものすごい雷の音がして、続いて部屋が揺れました。
おそらく近くに落雷したのでしょう。直後には、集中豪雨が降りました。
まったく天川では自然の驚異を思い知らされます。
持参した『センス・オブ・ワンダー』という本が読みたくなりました。
これから、天河大弁才天社を早朝参拝して、京都へ戻ります。



京都駅では、「京都の美学者」こと秋丸知貴さんが待ってくれています。
秋丸さんと昼食を共にした後は、そのまま東京に向います。
東京では「出版寅さん」こと内海準二さんと待ち合わせし、一緒に「月の織姫」こと築城則子先生の作品が展示されている日本伝統工芸展を見に日本橋三越本店へ。
さらに、その後は銀座に向って、「美の商人」こと大川原有重さんと夕食を共にする予定です。みなさんにお会いできることが楽しみです。
秋分の日の今日も、良き一日でありますように!


2010年9月23日 一条真也