『人生、道を求め徳を愛する生き方』

一条真也です。

おかげさまで、このブログも700本目になりました。
ブログ開設以来268日間継続しているので、1日で平均2.62本という計算になります。これからも、つれづれなるままに書き続けていければと思っています。
さて、今夜も『論語』の精読と並行して、安岡正篤の著書を再読しました。
『人生、道を求め徳を愛する生き方』安岡正篤著(致知出版社)という本です。


              明快な日本思想史にして、優れた日本人論


わたしには、『知ってビックリ! 日本三大宗教のご利益〜神道&仏教&儒教』(だいわ文庫)という著書があります。執筆する際に最高のテキストとなったのが本書でした。
とにかく、神仏儒に道教キリスト教を加えた諸宗教が日本人に与えた影響を俯瞰的に考察し、日本人の「こころ」の源流が明快に理解できる本です。
使える日本思想史であり、かつ、優れた日本人論でもあります。
昭和11年、日本が軍国主義化し、実業界も労働界も迷走する中で、日本人に必要なのは人格と識見と、日本古来の「まつり」や「むすび」の心だと安岡正篤は述べます。 



そして、「今、少しく深いものに目醒なければなりません。もし、単なる理論とか方策によって世の中が救われるならば、我々の先祖に偉大なる人物はたくさんおったのですから、千年二千年前に、我々のユートピアを実現してくれているはずです。それが幾度も治乱興亡を繰り返しているということは、理論や闘争のみによって経世済民はできないということを物語っているのです。ことに、東洋、日本の国家において然りです。 そういう点において日本の改革ということは決して軽々と外国の模倣的思想、行動に出るを許されないのであります」と喝破するのです。
これはそのまま現代日本人へのメッセージでもあると感じる人も多いでしょう。
この本には安岡正篤の学識の深さと洞察の鋭さとともに、燃えるような憂国の想いがあふれています。いま、菅首相や現在の閣僚の方々にも読んでほしいですね。
まだ本書を読まれていない方は、ぜひ、お読み下さい。


          日本人の「こころ」の三本柱としての神道&仏教&儒教


2010年11月8日 一条真也