『先哲講座』

一条真也です。

中外日報」の編集長から連絡があり、年末より第1面のリレー・コラムを連載することになりました。「中外日報」は京都に本社を置く日本最大の宗教新聞です。
特に、仏教界の方々はほとんど購読されているのではないでしょうか。
まことに光栄なことなので、心をこめて書かせていただくつもりです。
それから、先程アマゾンを見てみたら、宗教哲学者である鎌田東二先生との往復書簡集『満月交感 ムーンサルトレター』上・下巻(水曜社)が、ついにUPされていました。
まだ先行予約ですが、なんとか良い本に仕上げ、「世直し」に役立てたいです。
鎌田先生のような生ける「先哲」と共著を出版できる喜びを噛み締めています。
さて、今夜は『先哲講座』安岡正篤著(致知出版社)を再読しました。


                   古今東西の先哲の名言が満載


安岡正篤は「世の中は一体どうなっているのか、どうすればよいのか」という言葉を耳にするたびに、『論語』の「子曰く、吾れ嘗て終日食(くら)わず、終日寝(い)ねず。以て思う、益無し。学ぶに如(し)かざるなり」という言葉を思い出したといいます。
尖閣諸島の問題をはじめとして、現在われわれが驚いているさまざまな騒動なども、じつは過去の書物にちゃんと書いてあります。
世間を騒がす現象は、理由も原因もなく突然起こることはありません。
歴史の本をみれば、みな、すべて出ているのです。



だいたい人類が人間らしい生活をするようになってから5000年です。
この間に起こった出来事を調べてみると、本質的にはすでに経験した過去の現象の繰り返しにすぎません。現在の諸問題についても、「どうなるのか」などと余計な雑念や妄想に時間をかけるよりも、真剣に歴史を学ぶべきです。
そうすれば、その答案、あるいはその解決策というものは全部書いてあるのです。
よって、現代を知ろうと思えば、歴史と先哲に学ぶべし。



本書には、『論語』をはじめ、『六韜三略』などの兵書、広瀬淡窓や佐藤一斎、さらにはユダヤ教聖典『タルムード』から、パスカル、ルソー、ヒルティ、ラ・ロシュフーコーなどなど、古今東西の先哲たちの言葉が生き生きと紹介されています。
わたしも、経営などの現実的問題を考えるうえで何よりも読書を活用する人間ですが、他ならぬ安岡正篤その人が最も有効なアドバイザーであることは言うまでもありません。
まだ本書を読まれていない方は、ぜひ、お読み下さい。



ちなみに、わたしにとっての「先哲」は、孔子ソクラテスから渋沢栄一ドラッカーまで、たくさんいます。でも、それらの先哲たちは、みな亡くなっています。
今でも生きている先哲といえば、やはり鎌田東二玄侑宗久の両氏だと思っています。


              鎌田東二玄侑宗久の両先哲とともに


2010年11月10日 一条真也