サンダーバード

一条真也です。

京都で新幹線のぞみを降り、富山行きの特急サンダーバードに乗り換えました。
金沢に向かうサンダーバードに乗るたびに、いつも思い起こす事件があります。
いわゆる「サンダーバード事件」と呼ばれる、忌まわしい事件です。


                  JR北陸線サンダーバード


2006年、JR北陸線の富山発大阪行きの特急サンダーバードの車内で、当時21歳の女性に乱暴した男が逮捕されました。
当時36歳の犯人は女性客の隣に座って「声を出すな、殺すぞ」などと脅して体を触り、さらに女性をトイレに連れ込んで暴行したのです。 
当時、泣きながら連れて行かれる女性の異変に気づいた客もいましたが、犯人が「何を見とるんじゃ!」などとすごんだために、何もできなかったといいます。
しかし、犯行が行われた当時、40人ほどの乗客が乗車していたのです。
自ら犯人に注意しなくても、せめて車掌を呼んだり、携帯電話で警察に通報するなどの行為はできたはずです。なぜ、それができなかったのでしょうか。


                   サンダーバード車内のトイレ

                   トイレ内の「SOSボタン」


論語』には、「義を見てせざるは勇なきなり」という言葉があります。
孔子は、「勇」を「正しいことを行う」という意味で使っています。
まさに、蛮行を見て見ぬふりをした彼らは、「勇なき」人々でした。
現在、サンダーバードの車内トイレには緊急通報用のボタンが設置されています。


                  義を見てせざるは勇なきなり!


わたしたちは、この事件をけっして忘れてはなりません。
いま、加賀温泉駅を通過しました。金沢駅には13時18分に到着します。
15時半から、北陸大学で「ドラッカー研究」の講義です。


                      金沢駅にて


2010年12月8日 一条真也