藪の中

一条真也です。

いま、新幹線のぞみ14号の車内です。
これから京都を経て、金沢に向います。
昨日、市川海老蔵が記者会見を行いましたね。

 
                12月8日付「朝日新聞」朝刊


わたしも会見の様子をテレビで観ました。
謝罪の口上や深々と頭を下げる仕草は、さすが歌舞伎役者だけあって見事でした。
思わず、「成田屋!」と声をかけたくなります。
あれほど見事なお辞儀は、なかなか見られるものではありません。
論語』の学而篇には「巧言令色、鮮なし仁」という言葉があります。
「ことば上手の顔良しでは、仁の徳はほとんどないものだよ」といった意味ですが、わたしは基本的にお辞儀の綺麗な人は信用してしまいます。



それにしても、ここ最近の報道で紹介された関係者の証言と本人の語る内容があまりにも食い違っているのが気になりますね。
海老蔵は、自分は加害者と面識がないし、灰皿にテキーラを入れて飲ませてもいないし、先に手を出してもいないという。まるで芥川龍之介の「藪の中」です。
朝青龍の一件といい、今回の件といい、しょせんは「酔っ払いのケンカ」に過ぎません。
でも、結果として、朝青龍横綱を辞めなければなりませんでした。
海老蔵も、無期限の謹慎だけでは済まない大きな社会的ダメージを負いました。
両事件に同じ人物(飲食店のオーナー)が絡んでいるというのも不思議な話ですね。
広告関係者などから、例のビルの関係者にまつわるさまざまな噂を聞いています。
あのビルには某外資系金融会社の社員などが経営する店も入っているようですね。
その会社は、リーマン・ショック以降も唯一、社員に信じられないような高額の報酬を払っていることで知られています。ちなみに、以前のわたしのオフィスは西麻布の森ビル内にあり、例のビルのすぐ近くでした。



大相撲と歌舞伎はともに日本の伝統文化ですが、スポーツと芸能の枠を超えて、「興行」というジャンルに入る世界です。
困ったことに、日本では昔から興行には闇社会の連中が絡んでいるとされています。
この事件から、興行、金融、そして闇社会との接点が覗き見えたような気がしました。
そして、どうも、その闇の連中は、日本という国そのものの「ソフト」を壊そうとしているようにも思えるのです。わたしの不安は、単なる陰謀論でしょうか?
もちろん、朝青龍海老蔵も本人の驕りと酒癖の悪さが招いた結果です。
その意味では自業自得なのですが、その背景に嫌な気配を感じるのです。



大事なことは、この世には、ウソをつくのが仕事である人々がいること。
そう、ウソをつくプロフェッショナルがいるのです。一番低いレベルでは、オレオレ詐欺師や結婚詐欺師がそうですね。
また、組織ぐるみでウソをつく人々が存在する事実もご存知かと思います。
わたしは、今回の事件の本質は、大相撲に続いて歌舞伎という日本の伝統文化に仕掛けられた一種の「テロ」ではないかと思います。
彼らのシノギがここまで来ているとは驚きですが、事態はかなり深刻です。
一つだけ言えることは、日本人は韓国の美脚アイドルグループが紅白歌合戦に選ばれなかったなどと騒いでいる場合ではないということです。


2010年12月8日 一条真也