映画人

一条真也です。

東京に来ています。
いくつかの打ち合わせを済ませた後、赤坂で「出版寅さん」こと内海準二さんと待ち合わせをしました。今日は、内海さんがある映画関係者を紹介してくれるのです。
その方の名前は、新藤次郎さん。わが国を代表する映画プロデューサーであり、なんと日本映画界最高齢である新藤兼人監督の息子さんです。
新進気鋭の女流監督である新藤風さんのお父さんでもあります。


                      新藤次郎さん


内海さんと一緒に、わたしは赤坂サカスのすぐ近くにあるシナリオ会館を訪れました。
ここに、新藤次郎さんが代表を務める近代映画協会が入っているのです。
ブログ「鬼婆」ブログ「藪の中の黒猫」、そしてブログ「裸の島」からもおわかりのように、わたしは新藤映画の大ファンです。特に、「裸の島」には大きな衝撃を受け、拙著『葬式は必要!』(双葉新書)にも紹介させていただきました。
その「裸の島」への熱い想いを早速、新藤さんにお伝えしたところ、とても喜んで下さいました。また『葬式は必要!』も読んで下さったとのことで、感激しました。



               「裸の島」のお話をいろいろお聞きしました


「裸の島」製作の裏話もいろいろお聞きしました。
あの映画に出演していたプロの役者は乙羽信子殿山泰司の2人だけで、子どもの兄弟も、僧侶も教師も、みんな現地の人たちだったそうです。
そして、観客の感涙を誘った兄弟役の2人も、すでに亡くなられているそうです。
映画の中で病死した兄役の人は、つい最近まで存命で、広島の映画記念館の館長をされていたとか。その他にも、いろいろな貴重なエピソードをお聞きしました。
「裸の島」は、今でも世界中で上映されており、絶賛を受けているそうです。





今日は、「裸の島」や小倉の物語である「無法松の一生」のリメイクの可能性などについても意見を交換させていただきました。大好きな映画の話がたくさんできて、非常に有意義かつ楽しい時間を過ごすことができました。
新藤さんは、これまで「パートナーズ」(2010)、「能登の花ヨメ」(2008)、「転がれ! たま子」(2005)、「雨鱒の川」(2003)、「群青の夜の羽毛布」(2002)、「祈り梅」(2001)、「三文役者」(2000)、「生きたい」(1999)、「午後の遺言状」(1995)などの名作・話題作を数多く作ってこられました。


                  「一枚のハガキ」のチラシ


そして最新作は、「一枚のハガキ」です。監督は、98歳となる新藤兼人監督です!
主演は、豊川悦司大竹しのぶ。日本映画界を代表する実力派の2人です。
「一枚のハガキ」の映画チラシには、次のように書かれています。
「98歳の日本最高齢映画監督・新藤兼人が、反戦への強い意思をこめ、
“戦争が庶民にもたらす悲劇”と“たくましく生きぬく力の素晴らしさ”、
そして、“再生と希望”を描ききった、集大成とも呼べる傑作。
新藤自身『映画人生最後の監督作品』と語る、
最後にして最高の一本が、いよいよ今夏公開となる」



この「一枚のハガキ」は、第23回東京国際映画祭審査員特別賞を受賞しました。
同映画祭の審査委委員長は、映画監督のニール・ジョーダンが務めました。
彼は、「一枚のハガキ」について次のようなコメントを寄せています。
「16歳の時、ダブリンで新藤兼人監督の『鬼婆』と『本能』を観て、大きな影響を受けました。その新藤監督がコンペティションに参加している映画祭で審査委員長を務められたことは、とても光栄です。とても美しい、いい映画でした」
今年の夏に公開される「一枚のハガキ」を観るのが、今からとても楽しみです。
なんでも、この映画には葬儀の場面も4〜5回登場するそうですし・・・・・。
新藤さん、今日はお会いできて嬉しかったです。
今後とも、よろしくお願いいたします。


2011年2月8日 一条真也