介護イノベーター

一条真也です。

土曜日の今日、朝から山口県徳山駅に向かいました。
株式会社エヌ・ビー・ラボ代表の清原晃さんと待ち合わせしたのです。
清原さんは、介護ビジネスのエキスパートとして非常に有名な方です。
特に、高齢者専用賃貸住宅高専賃)における第一人者として、「日経ヘルスケア」などの業界誌でも連載を持っておられます。


                       清原晃さん                     


清原さんは岡山大学大学院修了後、(株)日本エル・シーエー介護担当役員を経て、2001年に(株)ケア・リンク代表取締役に就任されました。
全国に介護付き有料老人ホーム、グループホームなどFC含めて25か所を展開。
06年11月に介護再生会社(株)エヌ・ビー・ラボを設立、代表取締役に就任。
あわせて、同年12月に湘南地域にて小規模高齢者住宅を展開する(株)ユーミーケアの代表に就任。その後は湘南にて高専賃事業の開発・運営に取り組まれました。
現在は、全国各地で管理運営業務委託方式にて高専賃の立ち上げ、運営支援にあたっておられます。日本の高齢者の未来を担っている方なのです。



清原さんとは、ある方の紹介で知り合ったのですが、以前から一度お会いしてみたいと思っていました。というのも、清原さんは、かつて農協に関わっておられ、いわゆるJAの葬祭ビジネスを立ち上げた方だったからです。
今年の1月、北九州に来られた清原さんとわが社のサンレーグランドホテルで初めてお会いしたのですが、その人間性の素晴らしさに感服しました。
もちろん、介護の第一人者ですので、シルバービジネスについてのさまざまなお話をお聞きして、とても勉強になりました。
何よりも、清原さんが偉大な社会運動家である賀川豊彦を尊敬しておられることを知り、嬉しくなりました。わたしも、賀川豊彦を心からリスペクトしているからです。
このたび、長女が賀川豊彦の後輩になることになって喜んでいます。
清原さんはまた、拙著『老福論〜人は老いるほど豊かになる』(成甲書房)をお読みになられ、わたしの考えに非常に共感されたそうです。



清原さんは、介護ビジネスのイノベーションをめざされています。
ずばり、誰でも安心して入居できる安価な高専賃の実現です。
エヌ・ビー・ラボHPの「ご挨拶」で、清原さんは次のように語っておられます。
「介護拠点が点から線へ、そして面的な展開を見せるようになった今日、医療を核として介護、そして自立と切れ目のない地域のネットワーク型のビジネスモデルの構築を目指して参りました。それと併せて、これからの市場において潜在的ニーズの高い、ローコスト型の次世代モデルの開発に成功することができました。今後、医療関係者や介護関係者の皆様と共に医療連携型モデル、ローコスト型モデルのNBコンテンツの普及・推進に全力を尽くす所存です」
わたしは、この清原さんの理念に全面的に賛同します。このようなローコストで作られる低価格の高齢者住宅こそ、今後のハートフル・ソサエティ必要なものだと思います。


                   高齢者専用賃貸住宅「わが家」

                       福永健太郎さん


そして、その清原さんの自信作が山口県周南市にあるというので、今日は見学に行ってきました。徳山駅から車で30分、目的の「わが家」という高専賃に到着しました。
なべつるの飛来地として有名な八代地区ののどかな農山村の中にある、平屋のレンガ色の建物です。シンプルでありながら、どことなく上品な印象を受けました。
玄関前で、(株)わが家の代表取締役である福永健太郎さんが出迎えて下さいました。
福永さんは、福永組という地場大手の建設会社の二代目であり、自身も一級建築士でしたが、思い切って、この仕事に転向されたそうです。
施設には17名の高齢者の方々が生活していらっしゃいました。
想像していたよるも、はるかに明るくて清潔な施設でした。


                  17人の方が暮らしておられます

                   わが家の「和やかルーム」


「和やかルーム」と名づけられたダイニング・ルームには50インチのテレビが置かれていて、みなさんの憩いの場となっています。
また、施設内には素晴らしい絵画が30点も展示されており、その絵でも心を癒されました。聞くと、福永さんのお母様がコレクションされたものだそうです。
これまでの高齢者住宅のイメージが一変してしまいますが、何より驚いたのはその安さでした。そのハードとソフトの充実ぶりからいって、おそらく日本一良心的な施設でしょう。


                   なんと素敵な名前でしょうか!

                  デイ・サービスの「つるの恩返し」


それにしても、「わが家」とは素敵な社名であり、施設名ですね。
社長である福永さんがつけられたそうです。
また、すぐ近くにある通所介護事業所は「つるの恩返し」という名前です。
この地が天然記念物になっている「なべつる」の日本で唯一の飛来地であることに由来しているのでしょうが、福永さんのネーミング・センスはかなりのものですね。ちなみに、この「つるの恩返し」は、福永さんのご両親の自宅を改造したものだそうです。
福永さんは、わが家HPの「ご挨拶」で次のように述べておられます。
「私どもが運営する『高齢者専用賃貸住宅 わが家』『通所介護事業所 つるの恩がえし』では、ご家庭での介護に、本当にお困りになっていらっしゃる方、すぐにでも介護が必要な方を優先的にご利用頂いております。そこには、どのような方でも『拒絶しない介護』と、残りの人生を『命いっぱい生きる』事その事を基本理念として、運営させていただいております。時にそれはたとえそのケアが社会的に非難される事であっても、ご利用者様とご家族の満足度が満たされるのであれば、どんどん実施してまいります」



そして、「ご挨拶」の最後は次のように結ばれています。
「ご利用者様のご家族と一緒になり『おかえりなさい』を合言葉に、いつでも家にいてくつろげる、そんな『わが家』を、そんな施設づくりをめざしています」
「わが家」と「つるの恩返し」を見学させていただきましたが、福永さんの言葉そのままだと実感しました。いずれの施設でも、利用者および職員の方々が幸せそうでした。


               介護イノベーターとのスリーショット


今日は、素敵な高齢者の方々の笑顔を見ることができました。
ハートフル・ソサエティとは、笑顔のうちに「老いる覚悟」と「死ぬ覚悟」が自然に与えられる社会です。すべての高齢者が笑顔で暮らせる世界が実現しますように・・・・・。


2011年3月5日 一条真也