マナー世界一

一条真也です。

いま、東日本大震災が世界各国の関心を集めています。
その中で、日本に対する賞賛の声が出ているようです。
Yahoo!ニュース」によれば、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」の電子版が「不屈の日本」と題する社説を12日に掲載しました。
そこでは、まず地震大国である日本の技術力を称えているそうです。
そして、「日本は経済が低迷し、政治家の失態に国民の大部分は当惑しているが間違ってはいけない。日本の産業力は依然として偉大だ」と述べたとか。


                   「産経ニュース」より


まことに嬉しい話ですが、もっと嬉しいニュースもあります。
Webの「産経ニュース」を読んで知ったのですが、中国で日本人のマナーの良さが絶賛され、「マナー世界一」という声まで出ているというのです。
中国は日本と同じく地震多発国であり、東日本大震災への関心も特に高いです。
12日付の中国政府系国際情報紙「環球時報」は、大震災を1面で報じました。
その見出しは、「日本人の冷静さに世界が感心」というものでした。
さらに、12日より中国のインターネットには、非常事態にもかかわらず日本人は「冷静で礼儀正しい」との書き込みなどが相次いでいるそうです。
特に、11日夜に「ツイッター」の中国版「微博」に投稿された写真が衝撃的だったようです。それは、地震のためにJR新橋駅の構内で足止めされた通勤客の写真です。階段で通行の妨げにならないよう両脇に座り、中央に通路を確保している姿でした。
この写真には、「(こうしたマナーの良さは)教育の結果。(日中の順位が逆転した)国内総生産(GDP)の規模だけで得られるものではない」との説明が付けられたそうです。
通行人のために通路を確保し、多くの人々が規律正しく座っていた姿は「江戸しぐさ」そのものだと思います。江戸時代、江戸に住む庶民の間で行われていた思いやりの作法。東京には、まだ「江戸しぐさ」が残っていたのです!



この「つぶやき」を見た中国の人々は感動し、すでに7万回以上も転載され、それは現在も続いています。人々は、「中国は50年後でも実現できない」「とても感動的」「われわれも学ぶべきだ」などのコメントを寄せています。
わたしは、大学で「孔子研究」の授業を受け持っています。
学生たちの中には、多くの中国人留学生もいます。
つまり、日本人にも中国人にも「礼」の大切さを説いているわけです。
そんなわたしにとって、こんなに嬉しいニュースはありません。
靖国問題から尖閣諸島問題まで、日本人と中国人とのコミュニケーション・ギャップにはこれまで悲しい思いをしてきましたが、この東日本大震災をきっかけに、中国が日本の良さを見直してくれれば素晴らしいことですね。
さらには、中国だけでなくインドでも、日本人の冷静な対応が称賛されたそうです。
これも「産経ニュース」によれば、13日付のインド紙「ビジネスライン」が、日本への出張中に被災したインド人技術者が日本人の冷静な対応を称賛する声を紹介しました。
記事には、「天井や壁が完全に崩れ落ちるような災害の中でも、すべての規律が保たれていた」と書かれているとか。



宇宙人が攻撃してきたら地球人たちは国家間の利害を超えて一致団結すると、よく言われます。もしかしたら、大規模な災害も宇宙人の襲来と同じく、「人類はひとつ」という意識を与えてくれるのかもしれません。
そう考えれば、地震津波で亡くなられた方々の魂も少しは浮かばれるでしょうか。


2011年3月13日 一条真也