手作りの募金箱

一条真也です。

被災者の方々を支援する募金活動が各地でスタートしています。
わが社でも、一昨日から冠婚葬祭の各施設において募金箱を設置し、社員のみなさんはもちろん、お客様からも善意を募っています。
集められた募金は、日本赤十字社を通じて、被災地に届けられます。

 
                      手作りの募金箱



本当は専門の業者に募金箱を作ってもらおうと思ったのですが、非常に立て込んでおり、どんなに急いでも1週間以上はかかるとのことでした。
それでは間に合いませんので、各施設の社員のみなさんが手作りで作ってくれました。
特に、わが社のような互助会が募金を行うことは重要な意味を持ちます。
なぜなら、互助会とは「相互扶助」という思想をシステムにしたビジネスであり、その目指すところは「助け合い」そのものだからです。
「一人が万人のため、万人が一人のため」というのが互助会の原点であり、それは今回の行動にもそのまま当てはまります。



さて、募金箱には「義援金」と書かれています。
しかし、皆様からの募金は本来は「義捐金」と呼ばれるべきものです。
義援金義捐金も、ともに「ぎえんきん」と呼びますが、意味が少し違います。
「義捐」は明治時代につくられた和製漢語です。 
「義」は、国家・社会など、「公のために力を尽くす」の意です。「捐」は、「捨てる」の意。
すなわち、「義捐金」は、公のために捨てる金のことなのです。
戦後に国語改革がなされ、「捐」は当用漢字に採用されませんでした。
そのため新聞・雑誌などでは、「義捐金」を「義援金」と書き換えるようになりました。
しかし、「援」は「助ける」の意ですから、「捐」の意味とはまるで違います。
義捐金を出す人は、徳を積みます。それも「陰徳」を積みのです。
古代中国の学者・淮南子に「陰徳ある者は必ず陽報あり、陰行ある者は必ず昭名あり」という言葉があります。
人知れず善行を積んだ者には、必ず天があらわに幸福を報い授ける。
また、隠れた善行のある者は、必ずいつかは輝く名誉が表われてくるというのです。



陰徳を積むとは、目には見えない「宇宙銀行」に心を貯金することです。
「心に貯金」ではなく、「心を貯金」。
私たちの心そのものを、つまり人間の元金を積んでいくことなのです。
黙々と人知れず徳を積んでいくと、誰かが手伝ってくれるようになります。
すると、自分が努めた以上に「徳高」が知らない間に上昇していることを感じるのです。
世の中の成功者といわれる人々の多くも、この「宇宙銀行」と「心を貯金」の法則に気づいているような気がします。
昨日、ユニクロ柳井正氏が個人として10億円を支援金として寄付するというニュースが流れました。楽天三木谷浩史氏も10億円を寄付される予定だそうです。
いくら億万長者とはいえ、やはり素晴らしいことだと思います。
残念ですが、わたしは、そんな大金など持っていません。
せめてもの気持ちとして貧者の一灯を募金箱に入れました。


                    貧者の一灯を入れました


2006年6月、ソフトウエア最大手マイクロソフト社の創業者であり、個人資産家として資産額世界一の個人資産家ビル・ゲイツが、2008年に完全引退し、自ら創設した慈善団体の活動に専念すると発表しました。
ゲイツは熱心な慈善家であり、開発途上国でのマラリア撲滅やエイズ対策に巨額の寄付金を拠出しています。彼は「個人資産の95%は基金に移譲する」と公言しました。基金の運営資金は個人出資の慈善団体としては過去最大級の300億ドル規模(約3兆4500億円)に達しているそうです。そして、衝撃的なゲイツの発表から数日後、さらに衝撃的なニュースが飛び込んできました。
ゲイツに次ぐ世界2位の個人資産を持つ投資家のウォーレン・バフェットが自らの資産のほとんどをゲイツの慈善団体に寄付したのです。その額、じつに4兆円!



ゲイツは、世界中のプロジェクト郡から選び抜いた「医療」や「教育」といった慈善事業ポートフォリオを組成し、個々のプロジェクトの成果を厳しく評価しながらポートフォリオを組み替え、投資対経済効果ならぬ寄付対社会貢献効果の最大化を目指すのです。
カネを稼ぎ増やすよりも、カネを正しく使うことのほうがずっと難しいことを、聡明なビル・ゲイツは理解しているに違いありません。これだけのスケールでカネを正しく使うには、思想というものが不可欠だからです。 



ゲイツの慈善団体ほどのスケールもカネもありませんが、わが互助会業界にもそれと似たものがあります。
社団法人・全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)が運営する「社会貢献基金」です。
全互協の加盟互助会、さらには各互助会の会員からの募金によって運営され、さまざまなNPOやボランティア・サークルなどに対しての助成を行っています。
現在、社会貢献基金のお金は2億円以上あります。
わたしは全互協の理事および広報・渉外委員長として、この社会貢献基金の委員を務めています。ぜひ、このたびの東日本大震災の支援に使うことができればいいなと思っています。互助会が「互助社会」の実現をめざすうえで必要なことだとも考えています。
22日に東京で開催される緊急理事会で、広報担当委員長として提案する予定です。


2011年3月16日 一条真也