『人間の格』

一条真也です。

全互連総会に参加するべく、東京に来ています。
思うところあって、『人間の格』芳村思風著(致知出版社)を再読しました。
函入りで布製、しかも460ページの大冊です。
背筋をピンと伸ばしてから読みたくなる本です。


                  人間、いかに生きるべきか


その重厚な外見から難解な内容を想像し、本を開く前には緊張感が走ります。
しかし読みはじめてみると、意外にも読みやすいことに気づきます。
また、知的好奇心を刺激されること、この上ありません。
独自の「感性論哲学」を提唱し、人間にとっていかに感性が大切かを訴え続けている著者は、今が歴史的な大転換期であると主張します。
すべての文化領域において、すべてのものが古い時代に別れを告げ、新たなる時代における在り方を模索しているというのです。
人間はいまや、進歩した科学技術文明や物質文明にふさわしい、より高度な精神文明の創造への意欲を湧き立たせ、ふるい起こすべき時を迎えている。
そのために何が必要か。それは人間性そのものの進化と発展への全人類的規模における努力であるというのです。



今日の人類は、さまざまな問題を抱えています。
それは、宗教戦争、民族紛争、環境破壊などの問題です。
それらの諸問題を根本的に解決するための緊急課題こそ、人間性の進化なのです。
第一部の「人間の格」では、本物の人間性と人間的魅力がどのようにして形成されるのかが説明されています。
第二部の「人間の境涯」では、人間性の進化が心境の段階的成長として示され、感性論哲学が切り拓いた人類の新しい生き方が具体的に展開されます。
つまるところ、「人間、いかに生きるべきか」を説いた本です。
しかし、とにかくスケールが大きくて面白い本なのです。 
まさに、人間の本質を哲学する現代の進化論だと言えるでしょう。


2011年5月17日 一条真也