営業責任者会議

一条真也です。
今日は、 サンレーグループ全国営業責任者会議が開催されました。
冒頭で、営業の各種表彰を行いました。最初に、営業部門の「募集実績順位」の1位の折尾営業所、「募集達成率順位」の1位の宗像営業所を表彰しました。


                  全国営業責任者会議のようす


それから、60分ほど社長訓話をしました。
全国各地から北九州のサンレー本社に集まった営業責任者たちを前に話しました。
まず、当然のことながら、わたしの骨折の話題から始めました。
わたしは、『法則の法則』(三五館)で紹介した「引き寄せの法則」の話をしました。
つまるところ、「思考は似た思考を引き寄せる」「思考は現実化する」といった法則です。
世界的ベストセラー『ザ・シークレット』の著者であるロンダ・バーンによると、この法則は自然の法則だそうです。「それは万有引力の法則と同じように、公平、かつ客観的なものです。それはまた、厳密かつ正確な法則です」と書いています。
自然法則ですから、個人的な感情を汲み取ってくれないし、善悪の区別もしません。
引き寄せの法則」は、人の考えていることをその人に還元するだけ、つまり、「あなたの思いを受信して、ただそれを送り返してあなたの人生経験にしている」というのです。


              「引き寄せの法則」は否定形を判断できない!


引き寄せの法則」は、思考の対象そのものを引き寄せるだけで、否定形かどうかは判断できないようです。いくら否定形の表現をしても、それを引き寄せてしまうのです。
ですから、「この洋服に何もこぼしたくない」は「この洋服に何かをこぼしたい。もっと何かをこぼしたい」となり、「あの人に侮辱されたくない」は「あの人に侮辱されたい」になり、「風邪をひきたくない」は「風邪をひきたい」となります。「引き寄せの法則」は、その人が一番強く思い描いていることを実現してしまうわけです。
ブログ「御袖天満宮」に書いたように、わたしは映画「転校生」に出てくる神社の長い石段を上から見下ろして、「ここから落ちたら大変だなあ」と思いました。
そのとき、わたしは自分が石段を転落するシーンを映像としてイメージしたわけです。
その石段は、非常に注意深く下りたので大丈夫でした。
しかし、その30分後ぐらいに別の石段で足を踏み外し、転倒してしまいました。
そうです、わたしは「石段を転落する」という思考を時間差で現実化したのです!
ですから、けっして否定的なことを思ってはいけません。肯定的なこと、良いことだけを選ぶのです。わが社の営業責任者にも、そのことを強調しました。



                  「想定外」について語りました


まあ、わたしの不注意から石段を踏み外したせいですが、まったく人生は何が起こるかわかりません。昔の人は「一寸先は闇」と言いました。
骨折そのものよりも、今後の予定が大幅に狂うことが痛いです。思わぬ骨折によって、わたしの未来が加速度的に変化していくのを実感しました。まさに、こういうことを人生における「想定外」というのでしょう。しかし、被災地の方々や福島第一原発の避難民の方々に比べれば、わたしの「想定外」など問題にもなりません。
東日本大震災こそは、まさに日本および日本人にとって想定外の出来事でした。
日本は地震大国であり、地震津波に対する備えも十分になされていました。
過去に何度も被災した三陸海岸周辺では「世界一」の津波対策をしていたにもかかわらず、その備えでさえ対応できない事態が生じたのです。
今回、地震津波に関して専門家から「想定外」という言葉が何度も語られました。
マスコミは「逃げ口上」ととらえて反発しましたが、それは間違いです。
想定とは、合理的推論によってなされるのであり、その枠組みを超える事態が生じた場合には、当然、想定外の事態が生じるのです。
わたしは、もともと大自然に対して「想定内」など有り得ず、不遜以外の何ものでもないと思っています。今回の大地震で、わたしたち日本人は「人間の力では絶対に及ばない超越的なもの」があることを思い知りました。


                    「危機」について語りました


東日本大震災は、日本にとっての大きな危機でした。
英語の「クライシス(crisis)」は、そもそも「分岐点」という意味です。
わたしが石段で足を踏み外し骨折したのもクライシスであり、分岐点でした。あのまま石段を転げ落ちて頭を打って絶命していた可能性もあったからです。
こういうときは、「足の骨折ぐらいで済んで良かった」と考えなければなりません。
「危機」という言葉は英語なら「crisis」ですが、フランス語では「crise」です。
その語源は、「決定」「判決」「ことの趨勢が定まるターニングポイント」を意味するギリシャ語の「krisis」です。わたしたちは今まさに、いくつかの重要な選択を下すターニングポイントに立っているのかもしれません。それは日本という国家だけでなく、冠婚葬祭互助会という業界、サンレーという企業についても言えることです。
東日本大震災以前には、「無縁社会」「孤族の国」「葬式は、要らない」など、人間関係がどんどん希薄になって、日本人の「こころ」の環境が悪化していくという大きな危機がありました。どんな集団にも危機は訪れるのです。そこでは危機感が大事になります。


               「ゆでガエル」のエピソードに一同納得?      


危機感の重要性を考える時、よく引き合いに出されるのエピソードがあります。
龍馬とカエサル』(三五館)にも出てくる、「ゆでガエル」のエピソードです。
カエルを2匹取ってきて、1匹を水に入れた鍋に入れます。その鍋を徐々に温めます。
温度の変化が徐々であるので、カエルは何の不安も待たずに、心地良く鍋の中にうずくまっています。カエルはいつでも逃げようと思えば逃げ出せるのに、温度が上がっていっても、何の変化意識も持ちません。そして高温になっても気づかず、やがて沸騰した湯の中でゆで上がって最後は死んでしまうのです。
今度は、もう1匹のカエルを持ってきて、その沸騰した湯の中へ入れます。
当然、そのカエルは、熱さに驚いて、必死で鍋から飛び出してしまいます。
そのカエルは火傷をするかもしれませんが、死なずにすむのです。
この単純な実験は、何を教えてくれるのでしょうか。前者は迫り来る危機に気づかずに死に、後者は反射的に危機を感知して生き残るということです。


                ピンチをチャンスに変える発想を!


企業においても、危機を事前に感知して生き残ることが重要なのは当たり前です。
今や、「大手だから大丈夫」「老舗だから安心」「上場企業は潰れない」といった一昔前の常識は通用しません。まさに『平家物語』の書き出しにある「盛者必衰のことわりをあらわす、おごれる者は久しからず」という言葉そのものの時代なのです。
大切なのは、危機のサインを感知したとき、けっして悲観的になってはならないということ。危機感と悲壮感は、まったく違います。単に「この業界に未来はない」などと騒ぎ立てるだけでは悲壮感は生まれても、危機感は育たちません。
「大変な時代になったが、これだけのことをやれば大丈夫だ」という生き残るための前向きで明確な指針が必要です。ちなみに、わが社ではその指針として「隣人祭り」、「婚活セミナー」を実施し、「グリーフケア・サロン」を開設、さらに必ずや大きな話題を呼ぶであろう新規事業を年内にはスタートする予定です。
それらは、冠婚葬祭互助会そのもののイノベーションになると確信しています。
そう、危機(ピンチ)は新たな機会(チャンス)になるのです!
今日は、以上のような話をしました。本当は、この後、みなさんと懇親会で飲みたかったのですが、骨折したばかりなので、それは遠慮しました。
再び松葉杖をつきながら大会議室を後にするわたしの姿を、橋本常務以下、営業責任者一同がじっと見ていました。なんくるないさ

 
2011年5月23日 一条真也