死んだふりをする人

一条真也です。

内閣不信任案の否決をめぐる茶番から2日が経過しました。
今朝の「産経新聞」のトップ記事には、菅直人首相の顔写真が3枚掲載されています。そして、そこには「首相はペテン師だ」という大見出しが出ていました。


                  「産経新聞」6月4日朝刊


記事によれば、菅直人首相が居座りを決め込んだことを受け、民主党で「菅降ろし」が再び激化したそうです。鳩山由紀夫前首相は、菅首相の早期退陣を信じて内閣不信任決議案の否決を呼びかけたわけですが、当然ながら激怒しています。
昨日、鳩山前首相は自分との会談で菅首相が早期退陣を明言したと強調。
そして、「約束を守るのは当たり前。できなかったらペテン師だ。人間として基本にもとる行為をするのならば即刻辞めていただくよう導かねばならない」と述べたそうです。
早速、鳩山元首相は両院議員総会開催を求め、署名活動を始めました。
その場で首相に退陣を迫り、応じないならば党代表の解任動議を提出する構えだとか。



まさに「友愛」思想も吹っ飛ぶ鳩山氏の怒りは、怒髪天を衝くようですね。
今回の茶番は、鳩山氏の「友愛」が裏目に出て、「甘さ」につながりました。
まんまと騙された形になりましたが、騙されたからには大いに怒るべきです。
ブログ「怒りについて」に書いたように、「怒り」はリーダーシップにとって重要な要素なのです。そして、ブログ「リーダーの言葉」に書いたように、リーダーには決して口にしてはならない言葉があります。
東洋の帝王学の源流である孟子は、「吾れ言を知る」と言いました。
そして、リーダーが口にしてはならない「言」を4つ挙げています。
第1に、ひ辞。偏った言葉。自分の都合のいいようにつける理屈。
第2に、淫辞。淫は物事に執念深く耽溺すること。
つまり、何でもかんでも理屈をつけて押し通そうとすることですね。
第3に、邪辞。よこしまな言葉、よこしまな心からつける理屈。
第4に、遁辞。逃げ口上のことですね。
すなわち、これら4つの言葉は、リーダーとして決して言ってはならない言葉なのです。今回の菅首相の発言には、なんと4つの言葉がすべて含まれています。


               リーダーが言ってはならない言葉とは


では、リーダーは何を言うべきか。それは、ただ、ひたすら真実です。
リーダーは部下たちが間違った情報に引きずられないように、とにかく真実を語らなければなりません。部下たちに適切な情報を与えないでおくと、リーダーが望むのとは正反対の方向へ彼らを導くことにもなります。
そして説得力のあるメッセージは、リーダーへの信頼の上に築かれます。
信頼はリーダーに無条件に与えられるわけではありません。
それはリーダーが自ら勝ち取るものであり、頭を使い、心を込めて、語りかけ、実行してみせることによって手に入れるものなのでしょう。このことは、わたしが孔子カエサル坂本龍馬、そしてドラッカーから学んだことです。



最高権力者でありながら、ここまで堂々とウソをつく人がいるとは驚きです。
新聞には「死んだふり続投」という見出しもありました。
まさに、見事な演技という他はありませんね。
この人なら、ヒグマと遭遇したって、うまく死んだふりができるのではないでしょうか。
死んだふりをする犬」とか「死んだふりをする猫」の画像がYouTubeで紹介されていますが、犬は「死んだふりなら、人間様にはかなわないワン!」、猫は「こんなに死んだふりが上手な人間がいるニャンて!」と思っているかもしれません。
それにしても、一国の首相が「ペテン師」呼ばわりされるとは!


2011年6月4日 一条真也