鵺か龍か

一条真也です。

AKB48の研究生の江口愛実が、AKBメンバーの「合成」だったことが判明しました。
彼女は、江崎グリコアイスの実」のCMキャラクターで電撃デビューしました。
ずっと、実在する人物か否かが話題となっていたのです。

  
                  AKBメンバーの合成でした


多くの人たちと同じく、わたしも最初からCGだと思っていました。
AKB選抜総選挙の直後に突然あらわれ、いきなりセンターの位置を確保しました。
江崎グリコによると、CMに出演している6人の顔のパーツを組み合わせてCGキャラを作ったそうです。くっきりとした目は前田敦子、スッとした鼻は板野友美、口角の上がった口は篠田麻里子、髪型は大島優子、顔の輪郭が高橋みなみ、眉は渡辺麻友のものだそうで、声は12期研究生の佐々木優佳里が担当したとか。
名前の由来も、予想通りに「江崎グリコ−アイスのくちづけ−アイスの実」から取ったものでした。江口愛実の誕生日である2月11日は「江崎グリコ創立記念日」と、これまたネット上で予想された通りでした。



しかし、CGでの合成技術というのは進んでいるんですね。こういう顔の女の子が実際にいても、おかしくありませんからね。昔、「三億円事件」の犯人のモンタージュの人相書が出回っていましたが、あの頃と比べたらえらい違いですわ。
わたしは、この江口愛実というCGキャラクターから、まず「鵺(ぬえ)」を連想しました。
鵺は、日本の妖怪であり、物の怪です。得体の知れない人物をいう場合もあります。
水木しげる著『日本妖怪大全』(講談社)によれば、鵺は『平家物語』などに登場。
サルの顔、タヌキの胴体、トラの手足、ヘビの尾を持つそうです。
源平盛衰記』では、トラの背、タヌキの足、キツネの尾を持っていることになっています。さらに、文献によっては、胴体がトラやニワトリだったり、頭がネコと書かれているとか。まあ、寄せ集めの化け物ですな。



それから、次に「龍」も連想しました。龍とは想像上の融合動物です。
角はシカ、顔はラクダ、翼はワシ、爪はタカ、手の平はトラ、そして体はワニや蛇。
神聖なものとして崇拝される動物を「トーテム」と呼びますが、龍は多くのトーテムが合体した霊獣です。鵺が不気味な化け物であるのに対して、龍は神聖な霊獣です。
わたしは、『世界をつくった八大聖人』(PHP新書)で龍を「理想の聖獣」としてとらえ、そこから聖徳太子の存在を龍の聖人版、すなわち「理想の聖人」としてとらえました。
聖徳太子とは、老子孔子ブッダ、イエスなどの聖人たちのイメージが合体した融合聖人であると論じたのです。
また、わたしの監修書である『世界の幻獣エンサイクロぺディア』(講談社)には、鵺と龍の両方が登場し、それぞれ詳しく解説されています。


                    鵺も龍も登場しています


さて、江口愛美チャンは、果たして鵺か龍か?  
つまり、得体の知れない化け物か、それとも理想のアイドルか?
それにしても、総選挙の直後に、こんな仕掛けをかますとは!
なんだか波状攻撃で来ますね、秋元康サン。
あと、できれば、小嶋陽菜のパーツも入れてほしかった!(笑)


2011年6月20日 一条真也