ラスト・シャトル

一条真也です。

最後のスペースシャトルが打ち上げられました。
アメリカ東部時間8日午前11時29分(日本時間9日午前0時29分)、米航空宇宙局(NASA)はスペースシャトルアトランティスフロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げたのです。これがシャトルの打ち上げの最後になります。
1981年の初飛行以来、スペースシャトルは30年間の歴史の幕を閉じました。


スペースシャトル計画、30年の歴史」という動画で、その歴史が紹介されています。
じつは、わたしはアメリカに行って、ケネディ宇宙センターで最後のシャトル打ち上げを見る予定でした。わが社は、日本のセキセーさんが代理店となっているアメリカの宇宙葬会社と提携しています。ポスト・シャトル時代に入って、宇宙葬の方法も変化することが予想されるので、その打ち合わせを兼ねて訪米することになっていたのです。
しかし、このたびの骨折で、スケジュールが大幅に変更され、今回の渡米は断念。
今月31日からは業界の視察でアメリカに行く予定ですが、最後のシャトル打ち上げを見ることができなかったのは残念でした。
わたしは「宇宙葬」や「月面葬」などを提唱していることかもわかるように、宇宙が大好きなのです。詳しくは、ブログ「宇宙よ!」を御覧下さい。


人類が初めて空を飛んでから、まだたったの100年ちょっとしか経っていません。
1903年12月17日、アメリカ・ノースカロライナ州キティホーク村の海岸で、世界で最初のエンジンを塔載した飛行機械が宙に浮かびました。歴史に名を残すライト兄弟の飛行実験です。100歳以上の高齢者は世界中にたくさんいますので、飛行機というものが存在しなかった時代に生まれた人々が現在も生きているのです。
これは、かなりすごいことではないでしょうか!



20世紀初頭の複葉機は、この100年のあいだに大いに進化を遂げました。
軍事・民生を問わず、さまざまなタイプの「空飛ぶ機械」に姿を変えてきたのです。
飛行機の発明と普及は、人々の意識を空に向けさせました。
長い時間をかけて、人類は地上や海上を速く移動し、短時間で遠い場所に達する技術を獲得しました。当然、次は天上であり、自然のままに放置されていた天空を文明の所産たる機械によって人間がどう使いこなしていくのか。
その「天上へのまなざし」は宇宙空間にまで及び、人類はついに宇宙船によって地球から離脱し、月に立つという快挙まで成し遂げたのです。
まさに20世紀は大いなるテクノロジーの世紀でした。


ハートフル・ソサエティ』(三五館)には「超人化のテクノロジー」という章があります。
わたしは、その中で次のようなことを述べました。
ほとんどの人々にとって、テクノロジーは科学技術の同義語であり、同時に「技術」そのものです。現代社会は、科学の成果としての2つの技術を中心に築かれてました。
1つは、飛行機や自動車あるいは鉄道船舶などの運輸交通技術。もう1つは、コンピューターや携帯電話、あるいは衛星放送などの情報通信技術です。後者のシンボルが「インターネット」だとしたら、前者のシンボルは「スペースシャトル」でした。
つまり、20世紀から21世紀にかけての人類のテクノロジーは「スペースシャトル」と「インターネット」が代表しているわけです。
そして、両方とも「最後の帝国」としてのアメリカから生まれたのでした。
スペースシャトルに代表される宇宙船は、人の「こころ」にどのような影響を与えてきたのか。そして、どのように人間の意識というものを変えてきたのか。
最後の打ち上げが終わった今、そのことを考えてみる必要があると思います。


                    超人化のテクノロジー


2011年7月9日 一条真也