過去と未来

一条真也です。

ブログ「タイムマシンは作れるか?」で紹介したように、今朝の「読売新聞」のトップ記事は「光より速い素粒子」という衝撃的な内容でした。
その2面にも、これまた興味深い記事を発見しました。インターネット交流サイト(SNS)最大手のフェイスブックが「タイムライン」という新機能を発表したというのです。


                  「読売新聞」9月24日朝刊


今や世界で8億人のユーザーを抱えるフェイスブックですが、このたび発表した「タイムライン」を使えば、友人らと共有した写真や動画、投稿文などのデータを重要度に応じて整理し、アルバムのように時系列での管理もできるそうです。
近々、日米欧など世界の利用者に提供を始めるとか。
22日に開かれた技術者向けの会合で、フェイスブック社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は新機能について本人の誕生後からの出来事を、家族や友人の近況も含め、時系列で表示できると説明しました。
特に、「大切な思い出を1カ所に集約し、公開する範囲も完全に管理できる」とアピールしたそうです。ザッカーバーグCEOは実演で、先ごろシリコンバレーを訪れたオバマ大統領との写真などを同機能で表示しましたが、詰め掛けた数千人の喝采を浴びたとか。 

 
              『思い出ノート』から「メモリーノート」へ


この「タイムライン」は、明らかに人間の「記憶」という脳の機能を代行しているように思えます。「タイムライン」によって、人間はこれまで以上に正確に記憶することができるわけです。ということは、「過去」をしっかりと管理できるのかもしれません。
じつは、わたしはここ数年、“フェイスブックの死者版”ともいうべき「メモリーノート」というインターネット・サービスの開発に取り組んでいます。
詳しい内容は企業秘密なので書けませんが、この「メモリーノート」によって自分と関係のあるすべての死者情報を管理し、WEB上で故人の墓参りや供養もできるという画期的なサービスです。いわば、生者と死者との交流サイトと言えるかもしれません。
あえてヒントをあげると、『思い出ノート』(現代書林)の電子化に近いです。
「タイムライン」の記事を見て、また「メモリーノート」のアイデアが膨らんできました。


                  「未来新聞」ホームページより



さて、「タイムライン」は過去に関わりますが、最近、「未来」に関わる面白いメディアを知りました。「サロンの達人」こと佐藤修さんのホームページに「未来新聞」なるものが紹介されていたのです。これは、未来の時点に立って出来事を報道するというものです。
詳しくは、「未来新聞」ホームページを御覧下さい。
そこに掲載されている「未来新聞について」という説明文に次のように書かれています。
「未来新聞は、ネット上のユーザーのみなさんが未来の出来事を想像して、記事の形で書き込んだり、それにコメントしたりすることができる場です。
未来の出来事を書くなんて、普段はしたこともないかもしれませんが、今の、個人レベルでも社会・地球レベルでも未来が見えにくい世の中、私たち個々人の地道な日々の努力を無駄にせず、より良い世界を切り開いていくためには、未来のことをどんどん想像して、それを目に見えるストーリーにしていくことにはとても意味があります。
未来新聞では、それをたった一人でやるのではなく、他の大勢のネットユーザーのみなさんと一緒にやることで、楽しみながら未来のアーカイブを作っていくことができます。
ある種のエンターテイメントとして伸び伸びやることで、私たちの、広大な潜在意識の中に眠っている、普段は表に出てこないような素晴らしいビジョンが自然に外に現れてくるはずです。そしてそういう素晴らしいビジョンは必ずや、私たち個人の、あるいは私たちの社会、そして地球の未来の良い方の可能性を伸ばし、その一方で悪い可能性の芽を摘み取ってくれると未来新聞のスタッフ全員が確信しております」



この「未来新聞」の試みも、わたしは大変興味深いと思いました。
神秘哲学者ルドルフ・シュタイナーなどが説く「アカシック・レコード」という考え方では、過去も現在も未来もすべての出来事の情報は宇宙に記録されているそうです。
過去をコントロールする「タイムライン」も、未来をリサーチする「未来新聞」も、なんとなく“アカシック・レコード産業”といったイメージで、ワクワクしてきますね。
それにしても、タイムマシンも発明されるかもしれないし、これから世界がどんどん面白くなりそうです。少なくとも、「2012年で人類が滅亡する」と悲観的になるよりも、「2012年から世界が面白くなる」と楽観的になったほうがいいと思いませんか?


2011年9月24日 一条真也