『中江藤樹 人生百訓』

一条真也です。

今夜は、今年最初の満月です。
ムーンサルトレター」の第78信を書いて、Tonyさんにメールで送りました。
ところで昨日から、ずっと中江藤樹のことを考えています。
中江藤樹 人生百訓』中江彰著(致知出版社)を再読しました。


人をつくる100の名言



「近江聖人」とまで呼ばれた中江藤樹
彼は、まるで隠者のごとく四十余年のすこぶる短い人生を送りました。
それにもかかわらず、今なお多くの人から親しまれる理由はどこにあるのか。著者は、藤樹を学び、また人に藤樹を語るに際して、いつもこのことを問い続けたそうです。
著者はまた、藤樹が「日本陽明学の祖」ということから「知行合一」を説き、知識よりも実行を重んじたという偏ったイメージが先行していることに危惧の念を抱いたそうです。
このような著者の問いに答え、危惧を払拭するために本書は生まれました。
藤樹の主著『翁問答』や『鑑草(かがみぐさ)』をはじめ、さまざまな書に出てくる珠玉の言葉を選び出しています。



本書に掲げられた「百訓」すなわち100のメッセージは、400年前の古典としての知識ではなく、混迷の世を生きる現代人の大きな指針になるものばかりです。
特にわたしが心を惹かれたのは、藤樹の和歌です。藤樹の和歌は本当に素晴らしく、しかも、わたしの大好きな月を詠んだものが多いのです。
「ふしおがむ社(やしろ)の神は月なれや 心の水のすめばうつれる」
「いかで我(わが)こころの月をあらわして やみにまどえる人をてらさん」
「偽(いつわり)のなき身なりせば古里の 月の光もさやかならまし」
この他にも、藤樹は月の歌を詠んでいます。
「こころの月」とは彼が生涯追及した「明徳」に他なりません。
藤樹は、夜空の月に人間の心の理想を重ね合わせていたのですね。
今夜の満月を見上げながら、わたしは「こころの月」を想いました。



中江藤樹といえば、「親孝行」の代名詞でもあります。なにしろ、27歳のとき病弱な母の世話を理由に官を辞するが許されず、やむなく脱藩して帰郷したほどです。
さて、9日は成人式でした。国民的アイドル「AKB48」のメンバーたちが神田明神での成人式に出席しました。前田敦子柏木由紀、そして板野友美もその1人でした。
成人になった抱負を訊かれた彼女は、「旅行もしたいけど…。貯金をして親孝行がしたい。いつかは家とかをプレゼントしたい」と語ったそうです。彼女は「オシャレ番長」などと呼ばれ、現代っ子のイメージがありましたが、この親を思いやる心には感心しました。



ブログ「家族になろうよ」で紹介した福山雅治の歌には、「自分のことばかり精一杯で、親孝行なんて出来てないけど」という歌詞があります。若い人が自分のことで精一杯なのは当たり前。親孝行ができないのも仕方ありません。それでも、「親孝行をしたい」という気持ちが大切であり、その心こそ親にとって最大のプレゼントとなるのです。
わたしは、「親に家をプレゼントしたい」と言い切った板野友美を偉いと思いました。
また、彼女のようなファッション・リーダーがそのような発言をすれば、若い世代にも影響力が大きいはず。いやあ、ともちん、見直したぞ!ジーン...(≧ω≦。)
ちなみに、新宿で彼女を見かけたというわが長女は、来年、成人式を迎えます。


2012年1月10日 一条真也