「ヒューゴの不思議な発明」

一条真也です。

映画「ヒューゴの不思議な発明」を観ました。
映画館で映画鑑賞したのは、ずいぶん久しぶりです。
昨夜、ブログ「社会貢献基金助成金交付式」およびブログ「東アジア葬祭事情」の間、時間をやりくりして六本木ヒルズでレイトショーを観たのです。


予告編を見て以来、どうしても観たかった映画でした。
そして、観始めたら、一気に126分が過ぎ去っていきました。
それほど、わたしの趣味に100パーセント合致した内容だったのです。
世界各国でベストセラーとなったブライアン・セルズニックの小説を原作に、世界的巨匠、マーティン・スコセッシ監督が初めて3Dでの撮影に挑んだ本格ファンタジーです。
製作は、ジョニー・デップだとか。そういえば、オープニングの世界を俯瞰するシーンは「チャーリーとチョコレート工場」を連想しました。



父親が残した機械人形に隠された秘密を探る少年の冒険を描く物語です。
物語の舞台は、1930年代のパリです。孤児の少年ヒューゴは、駅の時計台にひそかに住んでいます。唯一の友達は、亡き父が残した機械人形でした。壊れたままの人形の秘密を探る過程で、ヒューゴはオモチャ屋を営む老人ジョルジェやその養女イザベルに出会います。やがてヒューゴは、その機械人形には世界の運命すらも変化させてしまう秘密があることに気付くのでした。


この映画は何よりも3Dが素晴らしかったです。
正直、ここのところ3D映画ラッシュでちょっと食傷気味でした。
しかし、この作品では3Dが絶大な効果を発揮していました。もうすぐ公開されるという「タイタニック 3D」も観たくなりました。3D新時代を拓いた「アバター」および「タイタニック」の監督であるジェームズ・キャメロンも、本作品のことは絶賛しています。
ヒューゴ役は、「縞模様のパジャマの少年」のエイサ・バターフィールド
ヒロインのイザベル役は、「モールス」のクロエ・グレース・モレッツでした。
2人とも、これ以上ない最高の演技を見せてくれました。
特に、クロエ・グレース・モレッツの可愛かったこと!
彼女を見ながら「誰かに似ているなあ」と思っていたのですが、「アメリ」や「ダ・ビンチ・コード」のオドレイ・トゥトゥに似ていることに気づきました。わたしの大好きな女優です。


詳しいストーリーは、ネタバレになってしまうので控えますが、この作品には誕生期の映画の魅力があますところなく描かれています。
映画を発明したのはリュミエール兄弟ですが、その後、魔術師として活躍していたジョルジュ・メリエスが大きく「大衆文化」として開花させます。


リュミエール兄弟の「列車の到着」を観た当時の観客たちは、本当に列車が突っ込んでくると錯覚し、悲鳴を上げて逃げ惑ったのでした。
また、メリエスの「月世界旅行」を観た多くの人々は、アポロの数十年も前に本当に人類が月面に到着したと信じたといいます。
エリック・バーナウの『魔術師と映画』(ありな書房)という本があります。わたしの愛読書のひとつですが、映画がまさに「魔術」として誕生したことを示した本です。
ヒューゴの不思議な発明」でも、映画の本質が見事に表現されています。


わが書斎の映画誕生本コーナー



わたしは、もともと誕生期の映画というものに関心が深く、その関連書もたくさん読みました。また、『遊びの神話』(PHP文庫)にも、「魔術としての映画」について書きました。
映画という芸術は、人間の無意識を刺激し、「夢」を覚醒状態のまま見せてくれます。
ヒューゴの不思議な発明」ほど、「映画」の魔術性を表した作品を知りません。


そして、この映画は「映画」そのものに対する愛情に溢れています。映画館でバスター・キートンサイレント映画に見入るイザベルの表情は最高に魅力的でした。
映画は退屈な日常を超えて、子どもには大人の世界を教えてくれるのですね。
「映画」への愛情を描いた映画といえば、何と言っても、「ニュー・シネマ・パラダイス」が思い浮かびます。そう、「ヒューゴの不思議な発明」がもう1つの「ニュー・シネマ・パラダイス」であることに気づいた人は案外多かったのではないでしょうか。



駅、時計台、オモチャ、機械人形、図書館、見世物、そして映画・・・・・。
この作品に登場するアイテムは、すべてわたしの趣味に合うものばかりでした。
最後に、この映画はパリという都市を魅力たっぷりに描いています。
パリといえば、文通相手のTonyさんが大のパリ好き、というよりパリを魂の故郷とされる方ですが、偶然にも現在パリに行かれているということです。
Tonyさん、久々のパリはいかがですか? 
夜空を見上げれば、もう満月が近いです・・・・・。
そう、そろそろ「ムーンサルトレター」を書かないといけませんね。
帰国されたら、ぜひ「ヒューゴの不思議な発明」を御覧下さい。
それでは、オルボワール、ムッシュー・トニー・パリ・カマターニュ!


2012年3月7日 一条真也


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