桜と日本人

一条真也です。

昨夜、東北から九州に帰ってきました。
仙台はなんと雪が降っていましたが、小倉は桜が咲いていました。
今日、小倉紫雲閣の桜も、わが家の桜も、それぞれ老木ながら咲き誇っていました。


小倉紫雲閣の桜も咲きました

わが家の老木も何とか咲きました



東京では、今日が桜の満開だったそうです。
この週末は、上野公園をはじめとして各地で花見が開かれることでしょう。
しかも、明日は満月ですので、花見と月見がダブルで楽しめます。
昨年は、東日本大震災の影響で花見が自粛されたことが思いだされます。
「もう、あれから1年が経ったのか」と思われますが、このたびの宮城出張で被災地の人々の心の傷がまだ癒えていないことを知りました。
わたしは、2006年の4月に上野公園で家族で花見をしました。
そういえば、大学2年生の長女はいま、横浜の川沿いに住んでいます。
そこには桜並木があって、とても綺麗だと言っていました。


日本人は、とにかく桜が好きです。
ずっと昔から、「限りある生命」のシンボルである桜を愛してきました。 
日本人がいかに桜が好きか。それは、福山雅治「桜坂」、宇多田ヒカル「SAKURAドロップス」、森山直太朗さくら(独唱)」、河口恭吾「桜」中島美嘉「桜色舞うころ」、ケツメイシ「さくら」、コブクロ「桜」アンジェラ・アキ「サクラ色」、いきものがかり「花は桜 君は美し」、エレファントカシマシ「桜の花、舞い上がる道を」などの最近のヒット曲のタイトルを見ただけでよくわかります。毎年、桜に関する歌が発表されて、それがヒットする。これは、かなりすごいことではないでしょうか。


なぜ日本人は桜を愛するのか



平安時代より以前は、日本で単に「花」といえば、梅をさしました。平安以後は桜です。最初は「貴族の花」また「都市の花」であった桜ですが、武士が台頭し、地方農民が生産力を拡大させてくるにしたがって、しだいに「庶民の花」としての性格を帯びてきます。
よく「花は桜木、人は武士」という言葉が使われますが、これは江戸中期の歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」に用いられてから流行するようになりました。
国学者本居宣長は桜を日本人の「こころ」そのものとしてとらえ、「敷島の大和心を人とはば朝日に匂ふ山桜花」という和歌を詠んでいます。桜を見て、「ああ美しいなあ」と感嘆の声をあげること、難しい理屈抜きで桜の美しさに感動すること、これが本当の日本精神だというのです。日本人は、今でも桜を愛し続けています。
日本人が桜を愛する理由については、『花をたのしむ』(現代書林)に詳しく書きました。
よろしければ、ぜひ御一読下さい。


2012年4月6日 一条真也