世界一美しい窯

一条真也です。

奈良県の天河に行ってきました。
先程、京都を経て、小倉に戻ってきました。
いろいろと不思議なことがありました。
昨日、正午に京都駅に宗教哲学者の鎌田東二さん、造形美術家の近藤高弘さんと待ち合わせて、天河に向かう予定でした。
順調に行けば、昼食をはさんでも15時半くらいには到着するはずでした。
それが、なかなか行き着けなかったのです。
まず、京都に着くと、駅前にパトカーや警官がたくさんいました。
近藤さんが車で迎えに来てくれていたのですが、なかなか車が見つかりません。
警官に聞くと、天皇陛下が京都にもうすぐお越しになられるとのこと。


雨が降っていたので、急いで近藤さんの車に乗り込みました。
でも、まだ鎌田さんが来ません。
少しだけ路上駐車させてほしいと警官に頼み込み、鎌田さんを待ちました。
それでも、鎌田さんはなかなか来ません。
警官から「もう、これ以上は無理だよ」と言われ、わたしたちはやむを得ず、近くの「京都・都ホテル」に移動しました。
その後、ようやく鎌田さんと落ち合いましたが、列車事故が2件も重なったそうです。
鎌田さんは、携帯電話を持たない信条ですので、まったく連絡が取れません。


ホテルで昼食を取ってから天河に向けて出発しましたが、ものすごく渋滞しています。
25日で「ゴトー日」ということもあったのでしょうが、いつも天河に通っている鎌田さんと近藤さんいわく「こんなに渋滞するのは珍しい」そうです。
途中で喉が渇いたので、コンビニなどを探しましたが、見つかりません。
たまたまゴルフショップ「ゴルフ5奈良橿原店」の入口に置かれていた自動販売機が目にとまりました。
わたしは、コカ・コーラ社の「綾鷹」というお茶のペットボトルを3本買おうと思いました。
1本150円だというので、450円の硬貨を入れました。
すると、出ないのです。
お茶のペットボトルも出ないし、硬貨も戻ってきません。
「ゴルフ5奈良橿原店」に尋ねると、店長さんが出てきて、「原因はわかりません」と言います。「それでは困る」と言ったところ、コカ・コーラ自動販売機を設置している会社に連絡するから、わたしの名前と住所と電話番号を教えてくれと言うのです。
その場で鍵を開けてペットボトルを渡してくれるか、お金を返してくれればいいものを、どうしてもそれは出来ないというのです。
ただでさえ時間が遅れて急いでいるし、450円などどうでもいいとは思いました。
しかし、経営者の端くれとして、天下のコカ・コーラ社がどういう対応をするのか興味が湧いてきました。そこで、わたしの名刺に携帯の番号を書いて店長さんに渡しました。
店長さんは、コカ・コーラ社からすぐ連絡があるだろうと言っていました。でも、現在に至るまで、コカ・コーラ社からも「ゴルフ5奈良橿原店」からも何の連絡もありません。
クレイマーのブログと間違われたら嫌なので、もうこのへんにしておきますが、わたしの450円は戻ってくるのでしょうか?
それとも、綾鷹が3本郵送されてくるのでしょうか?
何か変化があったら、また報告したいと思います。
それにしても、こんなことは生まれて初めてです。


なんだか、何者かが、わたしたちの天河行きを阻んでいるような気分になってきました。
鎌田さんなどは、「陰陽師のしわざかもしれないよ」と笑いながら言う始末です。
しかし、京都府警やJR西日本コカ・コーラ社や、あろうことか天皇陛下までをも操れるような陰陽師が存在するのでしょうか。
わたしたちは、とてつもない存在を相手にしているのかもしれません。
次第に怖くなってきました。


ようやく天川村に近づいた頃、なんと雪が降ってきました。
じつは、この後も、デジカメが故障したり、いろいろと不思議な出来事がありました。
本当に、偶然では説明がつかないことが重なります。
春の雪までをも操る最強の陰陽師あらわる?!
それに敢然と立ち向かう、鎌田東二近藤高弘一条真也の義兄弟トリオ!
まるでサイキック大河ドラマが幕を開けたような感じでした。


17時を回って、ついに天河に到着しました。
わたしたちは、まず「天河火間」へと向かいました。
2009年11月、天河大弁才天社の鎮魂殿(禊殿)前に作られた、近藤高弘さんの設計による窯です。
今回、初めて直接見たわけですが、えもいわれぬ荘厳さを感じさせるデザインでした。


                    荘厳な「天河火間」                 

両脇には「水」を表現するガラスが配されています。
窯の中では、「火」が燃えるわけですから、「火」と「水」のハーモニーで、まさに「火水(かみ)」の空間です。
最初に天河火間を見たとき、わたしは沖縄の亀甲墓を連想しました。
亀甲墓は、母親の子宮のイメージです。
でも天河火間のデザインは、近藤さんいわく「宇宙船のイメージ」だそうです。
なるほど、わたしも常々「人間の死とは宇宙的な事件である」と考えていますので、大いに納得しました。



                   まさに宇宙船のイメージ



鎌田さんは、「世界一美しい窯」だと表現していました。
わたしも、そう思いました。
さまざまな障害にあっても、かろうじて陽にあるうちに天河に来れて良かった。
何しろ、街灯に何もありませんから、もう30分遅れて陽が落ちていたら、この「世界一美しい窯」を見ることはかないませんでした。
ひらひらと雪が舞い散る中、わたしはサムシング・グレートに感謝していました。
さて、この天河火間では何が焼かれるのでしょうか?


2010年3月26日 一条真也