女のセンチメンタリズム♪

一条真也です。

「男のセンチメンタリズム」の次は、「女のセンチメンタリズム」です。
「センチメンタル」とは、「感傷的な」ということ。
「センチメンタリズム」とは、「感傷主義」とでも訳しましょうか。
男女に限らず、「感傷」というものは、恋人との別れに関わっていますね。
その世界に関しては、やはりユーミンが第一人者だと思います。
わたしの学生時代は、とにかくユーミンの全盛期でした。
女子大生は、みんなユーミンを聴いていました。
彼女の曲から感じられる「女のセンチメンタリズム」に酔っていたのかもしれません。


まずは、「海を見ていた午後」からです。
横浜にある山手の「ドルフィン」というレストランが舞台です。
このレストランで一組のカップルが別れてしまう。
その後、彼女が一人で訪れて昔を振り返る歌です。
インクが滲む紙ナプキンに「忘れないで」ってやっと書いた遠いあの日・・・・・。
ソーダ水の中を貨物船が通る」というフレーズは、今聴いても素晴らしい!
言葉が見事に映像を呼び起こしています。
ユーミンは本当に詩人としても天才ですね。
われらが桑田佳祐とともに、日本が誇る叙情詩人だと思います。
学生時代、「ドルフィン」にはよく行きました。
車のカーステレオでこの曲を何度もかけながら・・・・・。


次は、「グッド・ラック・アンド・グッド・バイ」です。
人ごみの中で再会する元カップルの物語です。
元カレに見送られ、彼女は現在の恋人のもとへバスで帰ってゆきます。
天才詩人ユーミンの歌詞は映像的で、その光景が視覚として浮かんできます。
先に降りた元カレに見えるように、彼女は曇ったバスの窓に文字を書きました。
何度聴いても、やさしい気分になれる曲です。


最後は、「悲しいほどお天気」です。
このタイトル自体がまた素敵ですね。
天才詩人の才能が遺憾なく発揮されています。
なぜ、「お天気」なのに「悲しい」のか?
そこに、「センチメンタリズム」の真骨頂があるわけですね。
なぜ、あんなに愛し合った二人が別れてしまったのだろう。
どこで道は二手に分かれていったのだろう。
そんな、あの頃を振り返る最高の名曲がユーミンの「悲しいほどお天気」です。
美大生同士のカップルは、いつも二人で屋外スケッチをしていました。
ずっと、「一緒に歩いてゆける」と信じていました。でも・・・・・。



この曲と同じアルバムには「DESTINY」という曲も入っています。
この曲も別れた恋人との再会を歌っています。
キレイになって振った元カレを見返してやろうと決めていた彼女ですが、実際に再会したときは、たまたま安いサンダルを履いていたという悲しい歌です。
当時、作家の田中康夫さんとかコラムニストの泉麻人さんなどが、よく「DESTINY」を取り上げていましたね。たしか、泉さんは、「この彼女はサンダルだけでなく、足の指にはバンドエイドが巻かれていた気がする」と書いていました。
それを読んで以来、なんだか「DESTINY」という歌には夢がなくなってしまいました。
「悲しいほどお天気」のほうが、ずっと好きです。
なんだか、桜をながめながら、ユーミンのCDベスト盤を聴きたくなってきました。
咲き誇る桜もいつかは散る。人の出会いは「一期一会」です。
縁あれば結婚へと至るカップルもいますし、違う相手と出会って別々の人生を歩むカップルもいる。それでも、一度会ったという縁は永遠に消えません。
すべての出会いを大切にしたいものですね。


2010年3月30日 一条真也