守礼門

一条真也です。

沖縄に来ています。
首里城にある「守礼門」を訪れました。
そこに掲げられた扁額の「守禮之邦」からきている俗称ですが、沖縄そのもののシンボルです。そう、沖縄とは「守禮之邦」なのです。


                        守礼門にて

「守禮之邦」という言葉は、本来、琉球王国宗主国であった明に対して忠誠を尽くすという意味だったそうです。
しかし、わたしは沖縄が「礼」すなわち「人の道」を守る王国であることを示している思っています。なぜなら、沖縄ほど「人の道」を大切にしている場所はないからです。

かつての日本社会には「血縁」という家族や親族との絆があり、「地縁」という地域との絆がありました。日本人は、それらを急速に失っています。
その結果、「無縁社会」なるものが到来してしまいました。
では、わたしたちが幸せに生きるためには、どうすべきか。
何よりも、先祖と隣人を大切にすることが求められると思います。
まず、死者を忘れないということが大切です。わたしたちは死者とともに生きているのであり、死者を忘れて生者の幸福など絶対にありえません。
最も身近な死者とは、多くの人にとって先祖でしょう。
先祖をいつも意識して暮らすということが必要です。


                     沖縄の亀甲墓


もちろん、わたしたちは生きているわけです。
よって、死者だけと暮らすわけにはいきません。
ならば、誰とともに暮らすのか。まずは、家族であり、それから隣人ですね。
考えてみれば、祖父母や両親とは生ける「先祖」であり、配偶者や子どもは最大の「隣人」です。
現代人はさまざまなストレスで不安な心を抱えて生きています。
ちょうど、空中に漂う凧のようなものです。そして、凧が安定して空に浮かぶためには縦糸と横糸の両方が必要ではないでしょうか。
縦糸とは時間軸で自分を支えてくれるもの、すなわち「先祖」です。
また、横糸とは空間軸から支えてくれる「隣人」です。
この二つの糸があれば、安定して宙に漂っていられる、すなわち心安らかに生きていられる。これこそ、「幸福」の正体ではないかと思います。
沖縄の人々は、日本中のどこよりも先祖と隣人を大切にします。それだけではない。
「いちゃりばちょーでい」という言葉は、「一度会ったら兄弟」という意味です。
沖縄では、あらゆる縁が生かされるのですね。
まさに「袖すり合うも多生の縁」は沖縄にあり!
「守礼之邦」は大いなる「有縁社会」でもあるのです。 
すべての日本人が幸せに暮らすためのヒントが沖縄にはたくさんあります。


ここから、日本を再び「有縁社会」にしたい。
そんな願いを込めて、守礼門の前で「天下布礼」の旗を掲げました。
守礼之邦の中心で、礼をさけぶ。


                 「天下布礼」の旗を持って

なお、旗を持って立っていたら守衛の人が飛んできました。
そして、「ちょっと、旗は困ります」と言われました。
守礼門世界遺産なので、いろいろとチェックが厳しいのだそうです。
広告などで使うことも難しいとか。
しかし、守礼門を初めて広告で使ったのは、何を隠そう、わが社なのです。
それは終戦60周年のときです。
平和への祈りを込めて、「琉球新報」に全面広告を出したのでした。
辺野古移設が決まった今も、その想いは変わりません。
沖縄が平和でありますように。
世界が平和になりますように。


                       おきなわの力


2010年5月29日 一条真也