リーダーの別れ方

一条真也です。

菅直人新首相の「脱小沢」が露骨になってきました。
もちろん、参院選に向けてのイメージアップ策というのはわかります。
でも、なんだか性急すぎる印象があります。
なにしろ、小沢一郎氏といえば民主党政権政党になった最大の功労者ですからね。


                6月7日付「日本経済新聞」夕刊より
  

なかなか人と人との別れ方は難しいものです。
菅首相と小沢氏は男と男ですが、男と女の別れ方も難しいですね。
男の本性は女との別れ際ではっきりするといいます。
幼稚な男は幼稚な別れ方しか、わがままな男はわがままな別れ方しか、臆病な男は臆病な別れ方しかできません。
ならば、理想の別れ方とは何か。
わたしは、別れる際に、たとえ痩せ我慢であっても「楽しい時間をありがとう」と握手して別れる映画のような別れ方が理想だとずっと思っていました。
しかし最近になって、究極の別れ方とは別れないことであることに気づきました。
古今東西を見渡して、女に最高にモテた男とは誰か。
海外ではカエサル、国内では坂本龍馬が思い浮かびます。
わたしは『龍馬とカエサル』(三五館)という著書を上梓しましたが、二人ともこの究極の別れ方を知っていたようです。



史実によると、どうやらカエサルは次々とモノにした女たちの誰一人をも決定的に切らない、つまり関係を清算しなかったようですね。
20年もの間公然の愛人であったセルヴィーリアには、愛人関係が切れた後でも、彼女の願いならば何でもかなうように努めました。
他の女たちにも同様で、イタリアの某作家によれば、カエサルこそは「女にモテただけでなく、その女たちから一度も恨みをもたれなかった稀有な才能の持主」でした。
龍馬もしかり。彼には全国に数多くの恋人やセックス・フレンドがいたようですが、すごいのは女たちがみな「私だけが龍馬の女」と思い込んでいたことです。
正式な妻としたおりょうは別としても、千葉道場で龍馬と一緒に稽古した千葉さな子なども生涯「私は坂本龍馬の妻でした」と語っていたといいます。



別に男と女だけが別れではありません。
経営者と社員、上司と部下との別れもあります。
社員が退職するときは、会社としては必ず送別会を開き、退職後もOB会のような形で絶えず連絡を取るようにしたいものです。
何事も功労者やお世話になった人には、心からの「礼」を尽くすことが大切ですね。


               ハートフル・リーダーシップの研究


2010年6月8日 一条真也