フューネラルビジネス講演

一条真也です。

パシフィコ横浜で開催されている「フューネラルビジネスシンポジウム2010」で講演しました。演題は、「業界発展を考える㈱サンレーのいまとこれから〜葬儀の伝統継承と企業存続」という、いささか面映いものです。
もちろん、わたしがつけたのではありません。
主催者である綜合ユニコムさんがつけて下さったのです。


                   パシフィコ横浜で講演しました


受講料が一人8000円でしたが、多くの方々が集まって下さり、広いA会場が満員になりました。受講者は、葬儀業界の関係者が中心です。
でも、「出版寅さん」こと内海準二さんや「出版界の真実一路」こと現代書林の坂本桂一社長、そして「出版界の青年将校」こと三五館の中野長武さんも来て下さいました。
最初は、拙著『葬式は必要!』(双葉新書)の話をしました。
ドラッカーゆずりの「マネジメント」「マーケティング」「イノベーション」などを語り、これからの葬儀業界のビジョンを描いてみました。


               『葬式は必要!』について話しました


それから、いつもわが社の社員に話していることを、みなさんにもお話しました。
わたしがいつも社員に言っていることは、「われわれは日本人を幸せにする最後のお手伝いをしているのだ」ということです。
日本では、人が死んだら「不幸があった」といいますが、わたしは昔からそんなおかしな話はないと思っていました。不幸ということは、どんなに素晴らしい生き方をしても、人や社会に非常に役立つことをしても、最後は不幸になるということですから、そんなおかしな話はありません。
これでは、日本人の人生とは最初から必ず負ける「負け戦」ではないですか。
ですから、わが社は、人が亡くなっても日本人が「不幸があった」と言わない社会づくりのお手伝いがしたいのです。私は、お葬儀は「人生の卒業式」だと言っています。
そして、何よりも社員には、この素晴らしい誇りを持ってもらいたいと願っています。



                「死」と「葬」についての想いを語りました


「死は最大の平等である」。これはわたしの持論です。
昨日は、孤独死問題の第一人者である中沢卓実さんにお話したところ、非常に共感していただきました。
箴言で知られたラ・ロシュフーコーが「太陽も死も直視できない」と語りました。直視できないという共通点に加えて、太陽と死はともに、人間に対して「最大の平等」を与えてくれるものではないでしょうか。
太陽はあらゆる地上の存在に対して平等であり、太陽光線は世界中の人々に降り注ぎます。わが社の社名はサンレーですが、万人に対して平等に冠婚葬祭を提供させていただきたいという願いを込めて、太陽光線(SUNRAY)という意味を持っています。
「死」も平等です。「生」は平等ではありません。生まれつき健康な人、ハンディキャップを持つ人、裕福な人、貧しい人・・・「生」は差別に満ち満ちています。しかし、どんな人にも「死」だけは平等に訪れます。
「死」が平等であるとしたら、死の儀礼である葬儀も平等に執り行われねばなりません。   


                ハートフル・ソサエティに向かって


さらに考えるなら、ヒトは葬儀をされることによって初めて「人間」になるのではないでしょうか。ヒトは生物です。人間は社会的な存在です。ゆかりのある人々が葬儀に参列してくれて、その人たちから送ってもらう。それで初めて、故人は「人間」としてこの世から旅立っていけるのではないでしょうか。 
わたしは、葬儀とは人生の卒業式であり、送別会だと思います。そこで最も使われる言葉は、「ありがとう」です。人々が「ありがとう」の声をかけ合い、お互いが心ゆたかになれる。わたしは、そんな社会を「ハートフル・ソサエティ」と呼んでいます。わが社は、ハートフル・ソサエティ実現のためのお手伝いをさせていただく「ハートフル・カンパニー」でありたいと願っています。


             名刺交換に多くの方々に並んでいただきました


そして最近、全社をあげて取り組んでいるのが「隣人祭り」です。
第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」が話題になりましたが、人は誰でも「おくりびと」です。そして最後には、「おくられびと」になります。
フランスの作家であるサン=テグジュペリは「真の贅沢とは、人間関係の贅沢である」との言葉を残しましたが、一人でも多くの「おくりびと」を得ることが、その人の人間関係の豊かさを示すのです。
わたしたちは、これからも「人間尊重」の旗を掲げて、すべての方々を等しくお送りし、良い人間関係づくりのお手伝いをしてゆきたいと思います。
今日は、そんなことなどをお話しました。
“業縁”を得ている同じ業界の方々とともに、日本人を幸せにするお手伝いができれば幸いです。最後にそう言ったら、過分なほどの盛大な拍手をいただきました。
講演の終了後、わたしと名刺交換するために、多くの方々に並んでいただき、光栄でした。みなさん、本当にありがとうございました。


                  内海さんが挨拶してくれました

                  東常務の音頭で乾杯しました

                 今日も元気だ、ビールがうまい!


講演終了後は、関係者や社員たちと一緒に、横浜中華街で食事会をしました。
内海さんにも参加していただき、挨拶していただきました。
わが社の東常務の音頭で乾杯しました。
おいしい中華料理を食べながら、お酒を飲み、楽しい会話が弾みました。
志を同じくする同志たちと酒を酌み交わし、まことに幸せな一夜となりました。



今夜、20時からNHK「徹底討論 ふるさと再生スタジアム〜どうする?あなたのお葬式・お墓」が放映されます。今回は、九州・沖縄地域のみの放映です。
九州・沖縄にお住まいで、お時間のある方はぜひ御覧下さい。


2010年7月9日 一条真也