経理責任者会議

一条真也です。

今日はサンレーグループ全国経理責任者会議が開催されました。
各事業部の経理担当者がサンレー本社に集結しました。
わたしも、恒例の社長訓話をしました。


                 経理責任者会議を開催しました


まず、前に読んだ短歌をもう一度詠み、その意味について説明しました。
経理とは財務にあらず 経営の流れを読みて理(ことわり)を知る」という歌です。
それから、「数字力」について話しました。
古代ギリシャピタゴラスは、「万物は数である」と述べました。
考えてみれば、あらゆるものは数字に置き換えられます。
1人の人間は年齢、身長、体重、血圧、体脂肪、血糖値などで、国家だって人口、GDP、失業率などで表わされる。
そしてもちろん企業も売上、原価、人件費、利益といった諸々の数値がついてまわります。わが社は互助会ですから、募集や施行や解約にまつわる数字も重要ですね。



企業における数値は会計という部門に集約されますが、「会計がわからなければ真の経営者になれない」と喝破したのは、京セラ創業者の稲盛和夫氏です。
稲盛氏は著書『稲盛和夫実学』で会計の重要性を力説します。 
わたしたちを取り巻く世界は一見複雑に見えますが、本来は原理原則にもとづいたシンプルなものが投影されて複雑に映し出されているものでしかありません。これは企業経営でも同じである。会計の分野では、複雑そうに見える会社経営の実態を数字によってきわめて単純に表現することによって、その本当の姿を映し出そうとしているのです。



もし、経営を飛行機の操縦に例えるならば、会計データは経営のコックピットにある計器盤に表示される数字に相当します。
計器は経営者たる機長に、刻々と変わる機体の高度、速度、姿勢、方向を正確かつ即時に示すことができなくてはなりません。
そのような計器盤がなければ、今どこを飛んでいるかわからないわけですから、まともな操縦などできるはずがありません。
ですから、会計というものは、経営の結果を後から追いかけるだけのものであってはならないのです。いかに正確な決算処理がなされたとしても、遅すぎては何の手も打てなくなります。会計データは現在の経営状態をシンプルにまたリアルタイムで伝えるものでなければ何の意味もないのです。


              経理という仕事の意味について話しました



その後は、「情報力」「思考力」「創造力」「実行力」について話しました。
特に「思考力」において、「抽象的思考」の大切さを訴えました。
一般に「抽象的」というと、あまり良いイメージを持たれないのではないでしょうか。
「抽象的な言葉ではなく、もっと具体的に」とか「抽象的な議論はもうヤメだ!」といった具合にです。その反対に良い意味で使われるのが「現場」という言葉でしょう。
しかし、「現場」が大事なことはもちろんですが、「抽象」も大事なのです。
脳機能学者の苫米地英人氏は、現代人にとって、知識よりも情報を総括して高い視点から見る力、つまり抽象度を高くして見る力が必要とされると述べています。
「抽象度が高い」というのは、より多くの情報を包括できるということです。例えば、「チワワ」という情報に対して、「犬」という情報は、チワワも含んでいるのでより抽象度の高い情報となります。また、「犬」という情報よりも「哺乳類」、さらには「生物」という情報の方が抽象度の高い情報です。
このように、情報の範囲が広ければ広いほど、抽象度が高いことを意味します。



仕事における責任が大きくなればなるほど、できるだけ高い抽象度で物事を判断しなければなりません。
よく「現場の視点が大事」と言われます。
たしかに、その通りなのですが、チワワを見て「あっ、チワワだ!」と思うのが現場の担当者だとしたら、支配人は「チワワという種類の犬だな」と思い、事業部長は「哺乳類だ」、そして社長は「生物だ」と思わなければいけない。そして、抽象的思考は哲学というものにつながってきます。「なぜ、この仕事をするのか」「この仕事の使命とは何か」と考えることにつながります。
さらに、数字を扱うというのは、抽象化の極みと言えるでしょう。


            最後は、サンレー名物「末広がりの五本締め」で


会議が終わった後は、恒例の懇親会です。
わが社の中野執行役員の音頭で乾杯し、濱本部長の音頭で「末広がりの五本締め」をしました。わが社の経理スタッフのみなさんと大いに酒を酌み交わし、有意義かつ楽しい一夜でした。


2010年7月20日 一条真也