ヤフーとグーグル

一条真也です。

ヤフーとグーグルが提携するというニュースに驚いています。
昨夜、このニュースを初めて知ったときには、相互の良い部分を活かしあっての前向きな提携かと思っていました。しかし、今朝の新聞などを読むと、単にヤフーの検索エンジンがグーグルになるということだとわかりました。正直言って、大変なショックです。


                7月28日付「朝日新聞」朝刊より


ブログ『グーグル秘録』ブログ『Googleの正体』にも書いたように、わたしはグーグルの検索システムには疑問を持っています。
怪しげな匿名ブログの類まで平気で上位に表示する社会性のなさゆえです。
ヤフーのほうには、信用性の高いサイトを尊重するという「礼」の精神があります。
たとえグーグルが世界検索1位であろうが、ヤフーが国内検索1位を維持していることを頼もしく思っていました。
今回の提携で検索の選択肢が狭まることは確実で、これは由々しき問題です。
グーグルの寡占について、今日の「朝日新聞」朝刊で、検索エンジンに詳しい早稲田大学の山名早人教授は次のように述べています。
「各社が競争することで、検索技術の発展もある。検索エンジン開発には膨大なコストがかかり、やむを得ない面もあるのかもしれないが、利用者にとっては、選択肢が狭まることになる」
わたしは、「豊かさ」というのは「選択肢の多さ」ということだと思っています。
新聞だって、「朝日新聞」もあれば、「産経新聞」もある。
テレビだって、NHKもあれば、テレビ東京もある。
出版社だって、講談社もあれば、岩波書店もある。
それが民主主義であり、言論の自由であり、豊かな社会ということだと思います。
だから、検索エンジンにも絶対に選択肢がなければなりません。
ある意味で新聞やテレビや書籍以上に、検索エンジンは「情報」の優先順位に関わっています。それが一つだけになってしまうと、「情報」そのものの寡占につながります。
これは、ジョージ・オーウェルが『1984』で描いた超管理社会を操る「ビッグ・ブラザー」そのものではないですか!
わたしは、ヤフーとグーグルの提携には反対です。
ヤフーも、いくら多面的なサービスを展開しようが、検索エンジンは事業の核です。いわば、自身の「魂」です。はたして、一番肝心な「魂」を売り渡してもよいのでしょうか?
大きなお世話かもしれませんが、この話がキリンとサントリーの合併話のように破談になってくれることを願っています。
ということで、今日はこれから数件の打ち合わせをしてから、北九州に帰ります。


2010年7月28日 一条真也