湯をたのしむ

一条真也です。

社員旅行で佐賀県嬉野温泉に来ています。
早朝から旅館の最上階にある展望浴場に入りました。
嬉野温泉は『日本三大美人湯』のひとつですが、低温でヌルヌルしています。
わたしは温泉好きで、温泉に来ると、必ず3回は湯に浸かります。


                  嬉野温泉の展望浴場


湯に身を浸すと、心身ともにリラックスできます。
現代書林から刊行している「日本人の癒し」シリーズは「茶」「花」「灯」「香」と続いていますが、次は『湯をたのしむ』を書きたいくらいです。いや、ほんとに。
風呂の良いところは裸になって入るところで、社長も新入社員も文字通り「裸になって」、フランクに会話ができます。風呂ほど、自由な場所はありません。



日本において、風呂は文化です。日本の風呂の歴史は、538年の仏教伝来とともにスタートしたといわれています。
それまでにも、各地に温泉浴や蒸気浴の習慣はありましたが、湯を使っての沐浴は仏教伝来によって建立された寺院の浴堂が最初とされています。
中でも、日本最古にして最大の浴場だったのが東大寺の「大湯屋」です。
これはあくまで、体を清める、宗教的精神を養うことが目的で設置されたものです。 純粋に「風呂屋」としての営業目的の大衆浴場がつくられたのは江戸時代で、1591年に銭湯がはじめて登場しました。
江戸っ子たちは風呂を好み、熱い湯にがまんして入るのを美学としました。
そして、日本には数多くの温泉があります。
各地の温泉めぐりを趣味にした高齢者がたくさんいます。
温泉めぐりのサークルもあるそうです。
一般に高齢者は体と心に好影響を与える風呂が好きですね。
考えてみれば、「初湯」にはじまり「湯灌」に終わる。
人の一生は湯とともにあります。


2010年9月17日 一条真也