江戸川乱歩邸

一条真也です。東京にいます。
早朝に、『140字でつぶやく哲学』(中経の文庫)を脱稿しました。
いくつかの打ち合わせをした後、午後は旧江戸川乱歩邸に行ってきました。
池袋に所要があったのですが、たまたま立教大学のある「立教通り」を歩いていたとき、「旧江戸川乱歩邸」の場所を示すモニュメントを発見したのです。


                 立教通りでモニュメントを発見

             玄関には「平井太郎」「平井隆太郎」の表札が

                     乱歩邸の外観


ちょうど立教大学の隣接に建っており、乱歩の本名である「平井太郎」と長男の「平井隆太郎」の表札が並んでいました。
平井隆太郎は心理学者として有名で、立教大学の学長を務めた人物です。
門扉には「立教大学 江戸川乱歩記念大衆文学研究センター」という紙が貼られていました。中に入ると、乱歩の応接間などが展示されていました。


                      展示コーナーの前で

                      乱歩邸の応接間 


幻影城」と呼ばれた伝説の土蔵もそびえ立っていましたが、残念ながら施錠されており、中を見ることはかないませんでした。
でも、この土蔵で乱歩が多くの名作を書き、かつ、ここに東西の探偵小説が眠っていると思うと、想像がふくらんできました。
出来ることなら、「怪人二十面相のごとく頑丈な錠前を破り、内部に忍び込みたい」という妄想にとらわれましたよ。いや、ほんとに。


                  数々の名作・怪作を生んだ土蔵

                    幻影城前に佇む怪人?

                     頑丈な土蔵の錠前


ブログ「『少年探偵』シリーズ」に書いたように、わたしは子どもの頃から乱歩ワールドが大好きでしたが、成人してからは「押絵と旅する男」「鏡地獄」、そして「パノラマ島奇譚」などの怪奇幻想文学を好みました。
乱歩の小説は、設定が「おいおい、ありえないだろう!」というようなブッとんだものが多いように思います。「鏡地獄」や「パノラマ島奇譚」などもそうですが、「人間椅子」など、その最たるものではないでしょうか。
ふつう、あんなアイデア、絶対に考えつきませんよ。
どう考えても、現実的に不可能ですし。(笑)
乱歩の奇抜な発想を「変態的」と斬り捨てるのは簡単ですが、そうではなく、乱歩とは現実を越えた夢幻の世界に生きていた人ではないでしょうか。


             色紙や黄金仮面などが収められたガラスケース

                  立教大学は夢幻大学?


庭園のガラスケースの中には、黄金仮面などのレア・グッズとともに「うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと」の色紙が妖しく鎮座していました。
それにしても、立教が乱歩邸を管理しているとは知りませんでした。
もちろん、長男が学長に就任したという縁もあるでしょうが、なかなかオツなことをするもんですな。なんだか、立教大学が「夜の夢こそまこと」という真理(?)を教える夢幻大学のように思えてきました。夢幻大学は「ムゲン」の可能性を持っているのかも。


2010年9月24日 一条真也