サロンの達人

一条真也です。

湯島聖堂孔子と心の対話をした後、わたしは同じ湯島にあるコンセプトワークショップ(CWS)を訪ねました。代表の佐藤修さんにお会いするためです。
佐藤さんは、わたしが尊敬するコンセプト・デザイナーです。
東大卒業後、東レに勤務された後は、さまざまな企業や自治体、あるいはNPOなどのコンサルティングをされてこられました。
わたしが知っている人の中でも、もっとも頭脳明晰で、かつ「社会を良くしたい」という意識を強く持たれている方の1人です。要するに、志の高い方なのです。


                        佐藤修さん


今日、旧江戸川乱歩邸を訪問した後、立教大学の生協の書店に入ったら、『古書の森 逍遥』黒岩比佐子著(工作舎)という本が目に入り、購入しました。
サントリー学芸賞を受賞したノンフィクション作家が古書店通いで出会った魅力的な雑書の数々を紹介した本ですが、著者の黒岩さんがCWSコモンズの代表である佐藤修さんと親しいことを思い出したのです。
佐藤さんのブログには、よく黒岩さんのことが書かれています。
また、佐藤さんが開かれている「コモンズ書店」では、黒岩さんの著書とわたしの著書だけがコーナーを設置されています。まことに光栄なことです。



佐藤さんは自身のHPで、よくわたしの著書の書評を書いて下さるのですが、著者のわたしでも気づかなかったような発見が多く、いつも感謝しています。何より、著書の中で一番思い入れのある『ハートフル・ソサエティ』についての書評には感動しました。
佐藤さんは「21世紀は真心の時代」という論文で毎日21世紀賞を受賞されています。この論文の趣旨と『ハートフル・ソサエティ』の内容に共通性を見出されたそうです。



佐藤さんのことを思い出したので電話をしてみたところ、佐藤さんは非常に驚かれて、「あれ? ちょうど今、あなたのことを話していたところなんだよ!」と言われるのです。
ということは、わたしたちは同時に互いのことを考えていたわけです。
まさに、シンクロニシティ共時性)と呼ばれる現象です!
これは心理学者ユングの唱えた概念ですが、作家のコリン・ウィルソンは「シンクロニシティとは、宇宙の意志である」といったようなことを述べています。
ならば、わたしたちが同時に互いのことを思い出したのは天の意志であり、わたしは何としても佐藤さんに会いに行かなければなりません。



ということで湯島のオフィスに行ったところ、佐藤さんは3人の学生さんを紹介してくれました。千葉大学慶應義塾大学国際基督教大学などの学生さんでした。
聞くと、かんき出版から学生へのメッセージを集めた本を出版するとのことで、HIS代表の澤田秀雄氏、元ファーストリテイリングユニクロ)社長でリヴァンプ代表の玉塚元一氏、そして脳科学者の茂木健一郎氏などからのメッセージが予定されているそうです。わたしも、「メッセージをお願いします」と頼まれたので、快く引き受けました。
みなさん、とても喜んでくれました。その笑顔を見て、わたしも幸せな気分になりました。
何と言っても、3人のうちの2人は美人女子大生でしたし。(笑)
付け加えれば、あとの1人はイケメンの男子学生でした。(微笑)



その後、学生さんたちは帰り、佐藤さんと2人で久しぶりに語り合いました。
隣人祭り孤独死、自殺、無縁社会、互助会、NPO、共済組合、生協、賀川豊彦・・・さまざまな話題について、2時間たっぷり意見を交換しました。
久しぶりに佐藤さんに会った嬉しさのあまり、少々わたしが喋りすぎたように思い、反省しています。本当は、もっと佐藤さんの話をお聞きしたかったのに!
佐藤さんは、本当に多種多様のプロジェクトに取り組まれ、この湯島のオフィスを舞台に多くのサロンを主宰し、たくさんの人々の縁を結ばれています。わたしは参加できませんでしたが、今夜も「ナラティブ・サロン」というサロンを開かれていました。
かつては「サロニスト」を自称されたこともあるそうですが、まさに「サロンの達人」という言葉がぴったりくる方だと思います。



そして、佐藤さんは「役の行者」ならぬ「縁の行者」です。「縁の行者」とは、もともと鎌田東二さんのニックネームですが、わたしは佐藤さんにも当てはまると思います。
その証拠に、今日も、学生さんたちとの素敵な縁を結んでいただきました。
佐藤さんは、いま、北九州市北九州市立大学についての新しいプロジェクトにも取り組まれているそうです。佐藤さんが北九州に関わって下さるのは素晴らしいことです。
佐藤さんの分析力や構想力は、必ずや北九州市民を幸福にしてくれると信じます。
また、わたしに何か出来ることがあれば、協力させていただきたいと思います。
佐藤さん、今日はお会いできて嬉しかったです。
淹れ立ての美味しいコーヒー、ごちそうさまでした!



なお、この日のシンクロニシティなどの一連の出来事は、佐藤さんのブログにも書かれています。佐藤さんのブログは「時評編」と「挽歌編」に分かれていますが、とても奥が深く、考えさせられます。みなさんも、ぜひお読み下さい。


2010年9月25日 一条真也