ドラッカーDVD

一条真也です。

いよいよ明日は、待望の「ムーンギャラリー」小倉本店のオープンです。
国内最大級のグリーフケア・サロンであり、愛する人を亡くした人びとのためのコンセプト・ショップです。明日のオープンに向けて、夜間ライトアップもスタートしました。


                   いよいよ、明日オープン!


ムーンギャラリーは、冠婚葬祭業界における新たなイノベーションであると思っています。明日のサンレー本社における総合朝礼、および本部会議では、「価値の創造」としてのイノベーションを実現するための「革新力」について話す予定です。
わたしが敬愛してやまない経営学ピーター・ドラッカーは、「企業発展のためには、継続と変化のバランスが必要である」と喝破しました。
わたしは、継続を可能とするための「伝統力」と、変化を可能とするための「革新力」の両方を常に社員に訴えています。

 
                     内容豊富で面白い! 


ドラッカーといえば、「これを見ればドラッカーが60分で分かるDVD」を見ました。
アマゾンに注文していたのですが、今日やっと届いたのです。
ムーンギャラリーの最終チェックをした後に見ました。
非常に内容豊富で、かつ面白いので驚きました。DVDのパッケージには、「ドラッカーに関する唯一の映像作品!」と書かれたシールが貼られています。
アメリカで製作された作品ですが、監督のケン・ウィッティはCBSニュースのディレクターを務めていた人物です。ドラッカーの生い立ちから、マネジメントの世界で成功を収めるまでの様子をニュース・フィルムをまじえて紹介する手法はさすがですね。



GEの元CEOであるジャック・ウェルチをはじめ、豪華な出演者たちにも目を奪われます。出演者たちは、次々にドラッカーに対して最大の賛辞を投げかけます。
ドラッカーは著述家の肩書きを好みません。彼の著作の影響力は絶大です」ジャック・ビーティー(ドラッカー伝記の著者)
「野球界で言えば、ベーブ・ルーステッド・ウィリアムスです。マネジメントに関する彼の見識は、一貫して他の追随を許しません」A・G・ラフリー(P&G社CEO)
レーニン主義の基盤が中央集権なら、ドラッカー理論の中核は分権制といえます。現代資本主義の根幹です」T・ジョージ・ハリス(ジャーナリスト)



なかでも、元グリニッチ・アソシエーツ社代表のチャールズ・エリスの賛辞はすさまじく、ドラッカーの本質について「コンサルタントというのは仮面のようなもので、彼は実利的哲学者です」と分析した後、次のように述べます。
ドラッカーの思想は宇宙的スケールだと思います。それをある1点に集中させるのです。ある時点、ある経営者、ある会社に当てはめ、問題の解決方法を見極めます」
おお、宇宙的スケール! わたしは、この言葉を聞いて、江戸の儒者である伊藤仁斎が『論語』のことを「宇宙第一の書」と表現したことを思い出しました。
孔子ドラッカーも、ある意味で宇宙人だったのかもしれませんね。



このDVDにはドラッカー自身も登場し、数々の名言を吐きます。
たとえば、マネジメントの発見について尋ねられ、「ビジネスは経済面だけが注目されていました。顧みられなかった人間的側面に私は注目しました」と語ります。
また、21世紀になったばかりの頃、中国の経済的成長とグローバリゼーションが問題になったとき、ここ3〜5年の間の中国の最も大きな変化として、贅沢品であった車が今や必需品となった現状に触れ、「つまり、グローバリゼーションとは、経済事象ではなく心理現象なのです」とサラリと述べます。
さらに、ドラッカーは清掃サービス会社の経営者に対して、「貴社の事業は人材育成である」と適切なアドバイスを行うのです。あらゆる企業にとっての事業とは、人材の能力開発を置いて他にはないというのがドラッカーの持論でした。
まさに、ドラッカー理論の“強み”とは使命(ミッション)を日々の活動に関連づけることにあり、わが社の場合でもそうでした。



ドラッカーの関心は、晩年、企業からNPOへと向かっていきます。人生を豊かにするためにコミュニティをあり方を追求し、巨大教会のコンサルティングにさえ関わりました。
その生涯において、あらゆる組織に多大な影響を与え、社会を確実に改善してきたドラッカーですが、最後には次のように述べています。
「私の仕事は基本的に著述です。長い間書かなければ禁断症状に見舞われるでしょう」
この言葉を聞いて、わたしはシンミリしてしまいました。
わたしも、禁断症状に見舞われるほど書くことが好きだからです。
でも、ドラッカーの言うように「マネジメントは、あくまで実務」です。頭の中でアイデアを考えるだけではなく、それを実現するのが経営者の条件なのです。長年温めていたアイデアを、明日いよいよ実現できると思うと、なんだか武者奮いしてきます。



それにしても、このDVDは非常に参考になりました。
監訳者を務められた上田惇生氏は、DVDパッケージで次のように述べられています。
「さすがにCBSニュースで活躍した一流ディレクターの作品であると納得しました。手元において何度でも見たくなります。そしてその都度発見のある映像作品です。ドラッカー人気沸騰の今日、ついに日本版が制作されたことを喜んでいます」
わたしは、上田氏のコメントに全面的に賛成です。
この内容の充実度で、2940円(本体価格2800円)は安い。これは、買いですよ!


2010年9月30月日 一条真也