「雪女」の舞台

一条真也です。

青梅の「昭和レトロ商品博物館」の片隅に奇妙な看板を発見しました。
見ると、「雪女の部屋」と書かれています。
えっ、どうして「雪女」と青梅が関係あるの?



                 「雪女の部屋」の看板を発見


館内案内係の男性にお聞きしたところ、小泉八雲の代表作『怪談』に出てくる「雪女」の舞台は、なんと青梅だったそうです!
雪女伝説は日本各地に残されており、「雪女」「雪女郎」「雪婆」「雪童」など、さまざまな呼び方があります。呼び方は違えど、常に「死」を表す白装束を身にまとい男に冷たい息を吹きかけて凍死させたり、男の精を吸いつくして殺すところは共通しており、広く「雪の妖怪」として怖れられていました。


                「雪女」の舞台についての新聞記事


八雲の『怪談』では、「今夜、おまえが見たことは誰にも言ってはいけないよ」と雪女が若者に語りかけます。そして、「雪女」の冒頭には、次のように書かれています。
武蔵国西多摩郡調布村の百姓が私に語ってくれたものである」
この地名こそは現在の東京都青梅市であり、八雲に冬の怪異談を語った農民もほぼ解明できたそうです。最近の新聞記事にも、そのことが大きく紹介されているとか。
てっきり東北か北陸などの雪国が舞台だと思っていたので、これは意外でした。
子どもの頃から大の小泉八雲ファンで、わざわざ住居跡の記念館を訪ねて松江まで行ったわたしも、まったく知りませんでした。


                  幻想的な「雪女」の世界が

                   小泉八雲について学ぶ


看板に導かれて2階にあがると、そこは幻想的な「雪女」の世界でした。
小泉八雲ラフカディオ・ハーンの『怪談』は、“日本民俗学の父”である柳田國男に大きな影響を与えたとされています。
ハーンは全国のこわい話、不思議な話を集めて、日本列島に怪談ブームを巻き起こしたわけですが、柳田は「怪談の収集によって、日本人の心をさぐることができるのでは」と考え、名著『遠野物語』を世に問い、日本民俗学を誕生させたのです。
ちなみに今年は『遠野物語』が誕生してから、ちょうど100年です。
それと同時に、今年はハーンの生誕160年、来日120年でもあります。
ハーンが住んでいた島根県の松江に近い鳥取県の境港に生れた水木しげる大先生も、明らかに『怪談』から強い影響を受けています。
興味のある方は、ブログ『水木しげるの遠野物語』をお読み下さい。
今から沖縄へ向います。それでは、行ってきます!


2010年10月7日 一条真也