高齢化幸福都市

一条真也です。

北九州の総合情報誌として知られる「ひろば北九州」の11月号が送られてきました。
「北九州 経済最前線」というコーナーで、4ページにわたり、わたしのインタビュー記事が掲載されています。このコーナーには以前にも出させていただきましたので、2回目の登場です。たしか社長に就任した直後だったので、10年ぶりになるでしょうか。
今回も、聞き手は長妻靖彦さんでした。「毎日新聞」の記者を長く務められた方です。



               「ひろば北九州」2010年11月号より


今回のインタビューは、主に4つのパートに分かれ、それぞれ見出しになっています。
「葬式は永別の悲嘆癒す普遍の方法」「創立44年、『人間尊重』掲げて進化」「地縁再生へ始めた『隣人祭り』」「北九州市を『高齢化幸福都市』に」の4つです。
いずれも、つねづね訴えているテーマばかりですが、中でも最後の「高齢化幸福都市」というコンセプトを打ち出せたことが良かったと思います。
もともと、わたしは「老福都市」と呼んでいるのですが、このアイデアは10年前に長妻さんにインタビューしていただいたときに初めて語ったものだったのです。



高度成長期は「生」と「死」だけでしたが、高齢社会では「老」と「病」が入り、「生老病死」が課題となります。北九州の経済人は「製造業によるモノづくりで課題を解決する」と考えがちですが、新しいサービスの創造で解決する発想も必要です。
ご存知のように、北九州市は全国の政令指定都市の中でも高齢化率がナンバーワンであり、「孤独死」が多いことでも知られています。
北九州市は、かつて公害問題を解決して環境都市になりました。
それと同じ発想で、「禍転じて福となす」のです。
つまり、「孤独死」を逆手にとって世界一の「隣人祭り都市に」する。そして、高齢者が暮らしやすく、“老いる覚悟”と“死ぬ覚悟”を自然に与えられる「高齢化幸福都市」にする。
そうなれば、世界中から北九州市に視察団が来るのではないでしょうか。
これは、ドラッカーのいう「強み」を生かすことにもつながります。
そう、高齢者が多いことを「弱み」ではなく、「強み」としてとらえるのです。
これからも、わたしは、そしてわが社は、北九州のみなさんと一緒に「高齢化幸福都市」の実現に向けて邁進したいと思います。


2010年10月27日 一条真也