「ドラッカー思考」講演

一条真也です。

金沢に来ています。
今日は、朝から北陸大学で講演がありました。
未来創造学部の3年生が対象で、テーマは「ドラッカー思考」です。


                 最初の教え子たちが集まりました


3年近く前、彼らが1年生のときに、わたしは新米の客員教授として教壇に立ったのでした。今日の講演に集まった彼らの多くは、わたしの最初の教え子たちなのです。
みんな、懐かしく、また可愛い教え子たちです。彼らに再会するのが楽しみでした。
彼ら以外にも、3年生から編入で入ってきた学生たちもいて、総勢400名近くにまで膨れ上がり、大教室がいっぱいになりまし
最短で一流のビジネスマンになる!ドラッカー思考』(フォレスト出版)の内容に沿って、「自己実現」「マネジメント」「マーケティング」「イノベーション」「リーダーシップ」「未来創造」という6つのドラッカー思考を紹介し、自分の考えも述べさせていただきました。


                  「未来創造」について語りました


特に、「未来創造」のところに熱を入れて語りました。
ドラッカーを未来学者だという人がいます。たしかに彼の予測はよく当たるといわれています。しかし、ドラッカーはけっして未来学者ではありません。彼自身がそう断言しています。ドラッカーは、未来など誰にもわからないとした上で、『創造する経営者』(ダイヤモンド社)で次のように述べています。
「我々は、未来について2つのことしか知らない。1つは、未来は知りえない。2つは、未来は今日存在するものとも今日予測するものとも違う」(上田惇生訳)
ドラッカーいわく、たとえ誰かが予測したことが現実に起こったとしても、世の中では、誰も予測しなかったことで、はるかに重要なことが、あまりに多く起こっているのです。したがって、予測という行為そのものにあまり意味はありません。



ドラッカーによれば、未来を知る方法もまた2つしかないといいます。
1つの方法は、すでに起こったことの帰結を見ること。
彼自身の予測についても、すでに起こったことの帰結、つまりすでに起こった未来を知らせたにすぎないそうです。そうやって、さまざまな兆候から、ドラッカーソ連の崩壊を予測し、それを見事に的中させました。
未来を知るもう1つの方法は、自分で未来をつくることです。具体的には、子どもを1人つくれば、人口が1人増えるといった話です。これなら、誰でも未来をつくることができますね。それと同じように、たとえ小さな会社でも何か事業を起こせば、世の中を変えてしまう可能性をもつのです。歴史はそうやってつくられるのだとドラッカーは言います。歴史とは、ビジョンを持つ一人ひとりの起業家がつくっていくものだというのです。


                    来るべき未来とは何か


未来をつくるためのアプローチとして、これもまた2つの方法があります。
1つは、「すでに起こった未来を利用する」こと。
もう1つは、「来るべき未来を発生させる」ことです。
そして、この2つの方法は互いに補い合う関係にあるといいます。
ドラッカーは、『創造する経営者』で次のように述べます。
「すでに起こった未来は、組織の内部ではなく外部にある。それは、社会、知識、文化、産業、経済構造における変化である。一つの傾向における小さな変化ではなく、変化そのものである。パターンの内部における変化ではなく、パターンそのものの断絶である。」(上田惇生訳)
そして、来るべき未来を発生させます。ドラッカーはさらに述べます。
「未来は明日つくるものではない。今日つくるものではない。今日の仕事との関係のもとに行なう意思決定と行動によって、今日つくるものである。逆に、明日をつくるために行なうことが、直接、今日に影響を及ぼす。」(同)
未来を予測するだけでは問題を招くだけです。わたしたちが、なすべきことは何か。
それは、すでに起こった未来に取り組み、あるいは来るべき未来を発生させるべく働くことなのです。



未来創造学部という名前の学部に所属する3年生たちは、これから就職活動を行い、卒業後は社会に出てゆきます。
ぜひ、みんな、未来を悲観的に予想などするのではなく、自分たちの手で未来を創造してほしいと思います。わたしの教え子たちが、日本の、そして中国の明るい未来をつくってくれることを願っています。


                     大浦さんと

                     加藤梨紗さんと


なお、今日は学生以外の一般の方々も講演を聴きに来てくれました。
ブログ「金沢より」でご紹介した大浦さん、ブログ「北陸のゼクシィ・レディ」でご紹介した加藤さんも来て下さいました。
北陸の地で、さまざまな方々との縁が広がってゆくことに感謝しています。


2010年12月9日 一条真也