知のダンディ

一条真也です。

今日は、「北九州市立大学大学院マネジメント研究科」すなわち「北九大ビジネススクール(K2BS)」の齋藤貞之教授が来社されました。
齋藤先生は、北九州市立大学のシンボル的存在です。
長年、北九州の「知」のリーダーとして活躍されてこられました。


                     齋藤貞之先生


齋藤先生自らが中心となり、公立大学としては初めてとなるビジネススクールを開設されました。これは、非常に大きな地域貢献だったと思います。
わたしは若い頃から色々と御指導いただき、齋藤先生には大変お世話になりました。
父である佐久間進サンレーグループ会長と3人で、サンレー創立30周年記念誌での鼎談もさせていただきました。当時のわたしは、専務であり、松柏園ホテルの総支配人を兼務していました。「21世紀のサンレー」をテーマとし、「ハートビジネスの完成に向かって」というタイトルでした。また、わたしが敬愛してやまないピーター・ドラッカーの名前もじつは齋藤先生から教えていただきました。齋藤先生には、『ドラッカー 新しい時代の予言者』(有斐閣新書)という先見性に富んだ著書があったのです。


          『明日に歩む〜サンレー創立30周年記念』(サンレー)より


また、わが社が北九大齋藤ゼミの研究対象となり、佐久間会長が社長時代に特別講師として教壇に立ったことがありました。
それから約10年後、わたしも北九大の特別講師を務めさせていただきました。
つめり、親子二代で教壇に立たせていただいたことになります。


                 北九州市立大学での特別講義

                質疑応答での齋藤教授とのやり取り


北九大ビジネススクールが発行する「アジリタス」という雑誌のインタビューを受けたこともありました。第1回目がレーサーの片山右京さんで、第2回目がわたしでしたが、齋藤先生自らがインタビュアーとなられて恐縮した記憶があります。



                  「アジリタス」第2号より
                  

昨年より、北九州市で「サービス産業に関する意見交換会」がスタートしました。
このプロジェクトは、北橋健治市長の発案でした。
わたしは、第一交通産業田中亮一郎社長(北九州商工会議所副会頭)などとともに参加させていただきましたが、その会でも齋藤先生は座長を務めていらっしゃいました。
来年、定年を迎えられる齋藤先生は、特任教授になられます。そして今日、わたしも特任教授として「組織論」や「リーダーシップ」を担当してほしいとの依頼を受けました。
10月からの開始で、数コマ分の講義ということですので、それなら可能です。
ドラッカーを教えて下さったことをはじめ、お世話になった齋藤先生のお手伝いが少しでもできればと願っています。わたし自身、齋藤先生の近くで、多くのことを学ばせていただく大きなチャンスだと思います。



まことに不遜ながら、わたしは齋藤先生と非常に気が合うのです。
先生と話していると、あっという間に時間が過ぎ去ります。
今日も、ドラッカーをはじめ、カール・ポランニー、それから複雑系やニューサイエンスにいたるまで、さまざまな話題に花が咲きました。
齋藤先生は、定年を迎えられた後は、1920年にアメリカで刊行された幻のマネジメント書の翻訳を手掛けられるそうです。「この本はドラッカーにも大きな影響を与えた本です。その内容は、100年早過ぎたと思っています」と言われていました。 
定年後にライフワークに取り組まれる姿は、「高齢社会」と「知識社会」を生きる今後の日本人のライフスタイルにとって模範になると思いました。


                       齋藤先生と


わたしは、齋藤先生のことを「知」のリーダーであるだけではなく、北九州で最もダンディな方だと思っていました。
その外見もさることながら、渋い声、優雅な仕草・・・・すべてがカッコいいのです。
わたしも、「こんなナイスミドルになりたい」とずっと思っていました。
今日、その思いをあらためて強くいたしました。
先生は今朝、早起きしてクリスマスの仕込みを色々とされていたそうです。
それもベーコンにタコ糸を巻き、燻製を手作りされていたというのです。
ベーコンが完成したら次はチキンだそうで、ご自分で作った燻製を食べながら飲む赤ワインは格別の旨さだというのです。うわ〜、カッコいいなあ!

先生は、「料理というのは、他人を喜ばせる一番手っ取り早い方法ですよ。家族も喜んでくれますしね」と言われていました。
ドラッカーを教わってから、およそ15年。なんだか、今日は、齋藤先生から「あなたも、男の嗜みとして料理ぐらい作ったら」というメッセージを頂戴したような気がします(笑)。
齋藤先生、ベストを尽くして特任教授を務めさせていただきます。
どうぞ、今後とも、よろしくお願いいたします。
今度ぜひ、自家製ベーコンの作り方を教えて下さい!


2010年12月14日 一条真也