九州からの祈り

一条真也です。

朝粥会の後、「平成心学塾」を開催しました。
最初に、佐久間進会長が東日本大震災についての話をしました。


                     佐久間会長の講話


地震があった11日当日、佐久間会長は東京の丸の内にある日本商工会議所で会議中でした。避難して外に出ましたが、もちろん電車も動かず、タクシーにも乗れません。
赤坂見附にある宿泊先のホテルまで歩くことを決心しました。
通常は1時間ちょっとで着く距離なのに、道に大勢の人が溢れていて思うように前に進むことができず、結局、5時間ぐらいかけて歩いて帰ったそうです。
そこから、36階にある自分の部屋まで帰った話には、一同聞き入っていました。
会長は、「帰宅難民ならぬ帰泊難民になった」と言っていました。
わたしは、ちょうど羽田を飛び立った後で地震が起こりましたので、まさか会長がそんな大変な思いをしているとは、まったく知りませんでした。


                     気仙沼大使の名刺


佐久間会長は1枚の名刺を見せて、自分が気仙沼の親善大使であったことを告げました。名刺を見ると、たしかに「リアスさんりく 気仙沼大使」と書かれています。
社団法人・日本観光旅館連盟(日観連)の会長をしている頃から大使を務めているそうです。当然ながら気仙沼に知人も多いわけですが、地震以来、まったく連絡がつながらないそうです。名刺にある写真の街並みも壊滅状態になりました。
名刺の裏には、「気仙沼市宮城県北東端に位置し、リアス式海岸特有の海洋美と緑豊かな山々に彩られた美しいまちです。海に寄り添い、海と向き合い、『人と自然が輝く 食彩豊かなまち』を目指します」と書かれていました。
この文章を読むと、本当に哀しくなってきます。
6日前、海に寄り添い、海と向き合った美しい街が忽然と消えたのです。
佐久間会長は、「気仙沼の人たちが1人でも無事でありますように」と言っていました。


            日本人のマナーの素晴らしさについて話しました


会長に続いて、わたしが話をしました。
ブログ「マナー世界一」などに書いたように、この混乱した状況の中で、日本人が規律を守って行動したという話を中心にしました。
それから、世界中から日本に寄せられたエールを紹介するビデオをみんなで見ました。
ブログ「あなたたちは一人じゃない」で紹介した映像です。


じつは、この映像に関して自己啓発セミナーの会社が製作しているとか、意図的なものを感じるなどのネガティブな意見もあることを知っていました。
しかし、わたしが自分自身で観て感動しましたし、内容も素晴らしいと思いましたので、あえて「平成心学塾」で上映しました。


                    みんなでビデオを観る

                    みんな感動していました


ネット世代の若者の中には、自己啓発セミナーと聞いただけで警戒する人もいるようですが、あまりネガティブな情報に振り回されるのも良くないと思います。
風評などに惑わされず、自分の感性を信じることが大切です。
たとえ誰が作った作品でも、その内容が素晴らしいものならば大いに感動して、大いに泣けばいい。今日、この映像を見た参加者は、みんな感動していました。


                『隣人の時代』について話しました


最後は、明日いよいよ配本される『隣人の時代』(三五館)の話をしました。
こんな、東北の書店が壊滅的な被害を受け、輪番停電の東京でも開店休業のような書店が多い状態で、かわいい我が子を世に出すことに不安もあります。
はっきり言って、新刊を出すタイミングとしては最悪かもしれません。
しかし、『隣人の時代』にとっては最高のタイミングだと思います。
この本は、「助け合いは、人類の本能だ!」というメッセージを訴えた本です。
いま、わたしは天に向って祈るような気持ちで我が子を送り出します。
1人でも多くの方の手に渡り、そのメッセージを受け取ってくれますように。
そして、今日、わたしたちは九州から被災者の方々のために祈りました。
この祈りが、どうか東北や関東まで届きますように・・・・・。


                 九州からの祈りが届きますように


2011年3月17日 一条真也