横浜人形の家

一条真也です。

横浜に来ています。
長女の通う大学のキャンパスが1年半は神奈川県の戸塚なので、横浜に住むことになりました。それで、わたしの東京への出張とあわせて、新しい部屋の準備をするために家族ともども横浜に来たのです。妻と長女が部屋の準備をしている間、わたしは次女を連れて簡単な市内観光に出かけました。


                  「横浜人形の家」の前で

                「青い目の人形」が迎えてくれます


久しぶりの横浜ですが、まずは山下公園の近くにある「横浜人形の家」を訪れました。
「横浜発・世界の人形ふれあいクルーズ」をコンセプトにしたミュージアムですが、わたしはこの場所が大好きで、もう何度も訪れています。俳優の石坂浩二さんが館長で、おもちゃ研究家の北原照久さんがプロデューサーだそうです。
2階に上がって入口を入ると、「ノスタルジック・ハーバー」があります。今年で開港152周年の横浜の当時の様子が再現され、有名な「青い眼の人形」が迎えてくれます。
ちなみに、「青い目の人形」という童謡は野口雨情の作詞です。
同じく横浜港が舞台である童謡「赤い靴」も野口雨情が書きました。
どちらも、非常にノスタルジックで、何だかもの悲しい歌です。
わたしは、子どもの頃から雨情の詩が大好きでした。


                     アジアの人形たち

                南北アメリカオセアニアの人形たち


それから、世界140か国の民族人形と日本全国の郷土人形を楽しんだ後、3階へ。
芸術性の高い美術品としての人形が展示され、企画展示も行われています。
この日の企画展示は、「大ひな人形展」でした。各種ひな人形が展示されていましたが、特に目を引かれたのは宮中をイメージした見事な「ひな道具」でした。
大正時代のものだそうですが、まさに日本のドールハウスです。


                     日本のドールハウス

                     西洋のドールハウス


ブログ「雛祭り」に書いたように、わたしの母はひな人形が目がなくてコレクションしています。この素晴らしいひな道具を母に見せたら喜ぶだろうなと思いました。
もちろん、西洋のドールハウスもありました。こちらは妻が大好きなのですが、あいにく今日は一緒ではありませんでした。
ブログ「借り暮らしのアリエッティ」にも書いたように、ドールハウスはもともと妖精の住まいとして誕生したそうです。古いドールハウスを見つめていると、本当に妖精が住んでいそうな不思議な感覚にとらわれます。


                      リアルな生き人形

                     けっこう怖い人形たち


不思議な感覚といえば、「生き人形」も展示されていました。
小さな女の子をリアルに再現した人形でしたが、まるで本物の人間のようです。
西洋の蝋人形のようなものなのでしょうが、はっきり言って、不気味です。
稲川淳二の「生き人形」の怪談を思い出してしまいます。
また、「生き人形」の隣には、「市松人形」も置かれていました。
これまた、髪が伸びるという万年寺の「お菊人形」を思い出します。
そんな話を次女に話すと非常に怖がりつつも、興味を持っていました。
次女は11歳で、この春から小学6年生になります。
なんでも、クラスの中に都市伝説オタクの男子がいるのだとか。
そして、彼から不二家の「ペコちゃん」に関する怖い都市伝説を聞いたそうです。
それは、戦時中の食料難の時代に、食べる物がなくなった少女が自分の母親を食べてしまい、口についた血を舌で舐めているのがペコちゃんの顔なのだという話だとか。
次女は「そんな話、不二家に失礼じゃない!」と言っていましたが、たしかに(笑)。
でも、そんな都市伝説が生まれるのも、人形というものが限りなく人間の想像力を掻き立てるからに他なりません。。


                   人形には「魂」が宿るとされる

                  こんな「癒し系」人形もありました


いったんホラー・モードに入ってしまうと、普通のアンティック・ドールなどまで、人の魂が宿っているような気がしてきます。
しかし、古今東西、人間は人形には魂が宿ると考えてきたことは事実です。
ブログ「祈りのかたち」で紹介したように、わが社のセレモニーホールでも「人形供養」を行っていますが、毎回、おびただしい数の人形が集められます。
みなさん、古い人形をゴミとして捨てることはできないのです。
こんなふうに、いろんな人形を見ながら、次女と会話をはずませました。
普段はなかなか話す時間が少ないので、有意義で楽しいひとときとなりました。


2011年3月27日 一条真也