今必要な本

一条真也です。

昨夜も大きな地震宮城県で発生しました。
東日本大震災以来最大の余震で、東北の方々の心中を思うと胸が痛みます。
こんなときこそ、人間同士は互いに支え合い、助け合い、励まし合わないと!
さて、今朝の「朝日新聞」全国版1面に『隣人の時代』(三五館)の書籍広告が出ました。九州を含む西部本社版は10日(日)に掲載の予定だそうです。


                   「朝日新聞」4月8日朝刊


先の「読売新聞」の広告とは内容がコピーの変更されています。
メインの「支え合い、助け合いは、人間の本能」が「支え合い、助け合いは、人類の本能」に。サブの「人間を救えるのは人間しかいない」が「感動エピソード満載の画期的論考」に。さらに、「有縁社会をつくる考えと具体的方法。これからの日本のカタチ」が「新しい有縁社会のかたち。目からウロコの、その具体的方法とは?」に変更されています。
出版界の青年将校」こと中野長武さんをはじめとする三五館編集部の気合が伝わってくるコピーだと思います。「読売」の反響を見ながら、すぐ「朝日」向けのコピーに作り変えるところがさすがですね。



ここ数日、多くの方々に『隣人の時代』を購入していただき、お読みいただいているようで、各地で売り切れ書店も出てきています。
多くの方々から「時宜を得た出版ですね」と言っていただくのですが、ちょっと気になるのは、東日本大震災の発生後にわたしが大急ぎで『隣人の時代』を書き、それを三五館が緊急出版したと誤解されている方がいることです。
もちろん、単行本は週刊誌とは違いますし、編集および印刷の行程や流通システムの現状から考えても、そんなことは有り得ません。同書の発行日は4月1日となっていますが、「あとがき」を書いたのは2月18日の満月の夜です。
もともと「無縁社会」や「孤族の国」といったネガティブなキーワードに対する反論として書いた本ですが、まさか見本が出る直前の3月11日にあのような未曾有の大災害が起ころうとは夢にも思いませんでした。奇しくも本日、『隣人の時代』広告が掲載された「朝日新聞」では「孤族の国」キャンペーンが張られていました。なんとも皮肉というか、まるで津波の激流のような時の流れの速さに呆然とするばかりです。



さて昨夜、「かっこちゃん」こと山元加津子さんからメールをいただきました。
山元さんは、メールの冒頭に「一条さんお元気でいらっしゃいますか? 大変な地震が起きて、たくさんの方が亡くなって、私は一条さんが書かれたご本をちょうと読ませていただいたところでした」と書かれていました。
わたしが書いた本とは、『隣人の時代』です。
山元さんは、4月3日のメルマガで次のように書いて下さいました。
「お友達のひろこちゃんが、阪神淡路大震災のあと、避難所から仮設住宅に移られたあと、さびしくて、ひとりぼっちだと感じて、自殺をされてしまう方がとても多かったことを教えてくださいました。ひろこちゃんは『今回の地震で傷ついた人たちがこの先、感じるほんとうの孤独を思うと心が苦しくなります』ともメールで書いておられました。
とても不思議です。私、ひろこちゃんからメールをもらったときに、一条真也さんのことを思い出しました。冠婚葬祭のサンレーの社長さんで、私に『隣人祭り』のお話しをしてくださったのです。手作りのお料理を持ち寄って、今までお顔もお名前も知らなかったお隣さんと一緒にご飯を食べて、おしゃべりをして、楽しく時間をすごす『隣人祭り』をサンレーさんは応援をしておられるのです。一条さんは『これからは無縁社会じゃなくて、有縁社会でなくてはならないと思うんです』っておっしゃっておられました。
すごくすごく一条さんに会いたくなって、家に帰ったら一条さんの本がびっくりしたことに届いていたのです。『隣人の時代〜有縁社会のつくり方』(三五館)あ、星山さんの本だ。なぜか涙が出てきました」



続いて、山本さんは涙の理由を次のように書かれています。
「どうして涙が出てきたかというと、あるお子さんの死をメルマガを読んでくださっているなおこさんが教えてくださったからです。三歳の男の子がお母さんにゴミ袋に入れられて窒息死をしてしまったのだそうです。一度自力で出てこれたのに、またガムテープで手足をとめられて亡くなってしまったのだそうです。本当になんと悲しくつらいことでしょう。男の子も、お母さんも、どうして、そんなふうにならなくてはならなかったのでしょう。そのときの状況もわからないけれど、もし、一条さんがおっしゃるように、みんなで助け合っていられたら、みんなでお互いさまで生きていけたら、相談することができたり、助けてもらえたりもしたかもしれません。なおこさんはみなさんに、男の子の冥福を祈ってほしいとメールをくださいました。私もお祈りします。男の子の冥福と、そして、男の子のお母さんのお心が救われますように。私たちは誰もひとりでないのですね」



わたしは、山元さんのこの文章を読んで、胸がいっぱいになりました。そして、母親にゴミ袋に入れられて窒息死した3歳の男の子のことを想って、泣きました。
もともと山元さんも、わたしも、「泣き虫同盟」を結成できるくらい涙もろいのですが、最近は本当に泣ける話が多くて、涙腺が緩みっぱなしです。
山元さんは三五館の星山社長のことも書かれていますが、じつは一昨日、東京でお会いしたばかりです。そのとき、山元さんのメルマガの内容が話題になりました。
星山社長は毎日メルマガを読んでおられますが、あまりにも山元さんが大震災の被災者に心を痛めて憔悴しておられることを非常に心配されていました。



山元さんは、メールの最後に次のように書いて下さいました。
「今日、ご本を読み終えて、いっそうその思いがつよくなりました。一条さん、今必要な本を本当にありがとうございます。とてもとても大事な本。みなさんにもお伝えしたいです。どうぞお体大切にされてください。心からお祈りしています。かつこ」
山元さん、心あたたまる言葉をありがとうございます。
山元さんも、どうか、お体を大切にされてくださいね。
そして、「今必要な本」という言葉が、すごく嬉しかったです。
「とてもとても大事な本」という言葉も、とても嬉しかったです。
わたしは、これまで多くの著書を上梓してきましたが、いま、背筋を伸ばして、胸を張って『隣人の時代』を「今必要な本」として堂々と世に問いたいと思います。1人でも多くの方に読んでいただき、山元さんの言われるように、「みんなで助け合っていられる、みんなでお互いさまで生きていける」社会づくりのお手伝いをさせていただきたいです。
その勇気を与えていただいた山元加津子さんに心より感謝いたします。


2011年4月8日 一条真也