満月よ!

一条真也です。

今夜、といっても日本では16日の未明ですが、皆既月食が発生します。
ここ10年ほどで最も長く、そして最も暗く満月が翳るそうです。
わたしの大切な、こよなく愛する満月が翳る!


世界中の古代人たちは、人間が自然の一部であり、かつ宇宙の一部であるという感覚とともに生きていました。そして、死後への幸福なロマンを持っていました。その象徴が月です。彼らは、月を死後の魂のおもむくところと考えました。
月は、魂の再生の中継点と考えられてきたのです。
多くの民族の神話と儀礼において、月は死、もしくは魂の再生と関わっています。
規則的に満ち欠けを繰り返す月が、死と再生のシンボルとされたことはきわめて自然だと言えるでしょう。人類において普遍的な信仰といえば、何といっても、太陽信仰と月信仰のふたつです。太陽は、いつも丸い。永遠に同じ丸いものです。それに対して月も丸いけれども、満ちて欠けます。この満ち欠け、時間の経過とともに変わる月というものは、人間の魂のシンボルとされました。つまり、絶対に変わらない神の世界の生命が太陽をシンボルとすれば、人間の生命は月をシンボルとするのです。
人の心は刻々と変化変転します。人の生死もサイクル状に繰り返します。死んで、またよみがえってという、死と再生を繰り返す人間の生命のイメージに月は合致します。
地球上から見るかぎり、月はつねに死に、そしてよみがえる変幻してやまぬ星です。また、潮の満ち引きによって、月は人間の生死をコントロールしているという事実があります。さらには、月面に降り立った宇宙飛行士の多くは、月面で神の実在を感じたと報告しています。月こそ神のすみかであり、天国や極楽そのもののイメージとも重なります。


さて、皆既月食でなくとも満月は変化します。
YouTubeに満月を定点観測した動画が紹介されています。
2010年の1月30日に定点撮影したそうですが、月の動きの速さには改めて驚かされます。わずか4分間で、満月はフェードアウトしていきました。
いつも慌しい毎日を送っている人も、4分間だけ満月の映像を観てリラックスされてはいかがでしょうか?それにしても満月とは、なんて神秘的で魅惑的なのでしょうか!
ブログ「MOON MUSIC♪」ブログ「MOON SONGS♪」ブログ「月のうた♪」も、よろしければお楽しみ下さい。きっと、疲れた心が癒されることと思います。
なお、動画を拡大再生し、照明を少し落として観られることをおススメします。


さて、このブログは「ハートフル・ブログ」といいます。
わたしが提唱した「ハートフル」という言葉は今ではすっかり定着しましたが、じつは「フルムーン」と同じ意味だとご存知でしたか?
そう、「ハートフル」とは心の満月なのです。月が人間の精神に与える影響については『ロマンティック・デス〜月を見よ、死を想え』(幻冬舎文庫)などで詳しく書きましたが、その人間の精神そのもの、つまり心というものも月に似ていると思います。
人は倦怠しているとき、下弦の月のごとく、その精神の4分の3が影となっています。
何かで悩んだり、ねたみ、そねみ、憎しみなどのネガティブな感情に陥っているとき、暗雲に隠された月のように心も 闇に覆われているのです。
しかし、何かで感動したり幸福感などでわかに活気づくと、心の満月が突然現れます。
そして人は、自分の 内側にある生命の源と触れ合っていると感じます。
そうです、この心の満月こそが「ハートフル」なのです!
「ハートフル」をつきつめてゆくと、心理学者エイブラハム・マズローが唱えた究極の幸福感である「至高体験」、ロマン主義 文学者や宗教家たちの解く「神秘体験」、宇宙飛行士たちが遭遇した「宇宙体験」、そして死にゆく人々を強い幸福感で 包むという「臨死体験」などにも関わってきます。すべての人間はハートフルという幸福感のビックウェイブを持つサーファー なのかもしれません。


                  「読売新聞」6月15日朝刊


最後に、今朝の「読売新聞」に良くないニュースが出ていました。
「心の病」で労災認定を受けた人の数が過去最多だというのです。
これは色々な見方ができますが、多くの日本人の心は今夜の月食のように翳っているのでしょう。すべての人の心が暗闇に輝く満月のようでありますように!
満月といえば、これから「ムーンサルトレター」の第71信を書かないと!
満月交感 ムーンサルトレター』(水曜社)も、よろしくお願いいたします。
本なのに、読んでいるだけで満月の気に当たることができます。


               出版史上、最もルナティックな本です


2011年6月15日 一条真也