非礼にも程がある!

一条真也です。

怒りを通り越して、悲しくなりました。
今月27日に韓国・全州で行われたACL準々決勝・全北現代モータースセレッソ大阪戦のことです。全北サポーターが「日本の大地震をお祝いします」と日本語で書かれた横断幕を掲げ、東日本大震災で被災した日本を侮辱したのです。


28日、セレッソ大阪関係者は全北側から謝罪があったことを明らかにしました。
藤田信良社長は「心ない人はどこにでもいるし、全ての全北サポーターがそうではない。ただ、国のことを言われれば、われわれとしては抗議しなくてはいけない」と話しています。すでにAFCに抗議文を提出しており、今後の処分はAFCに委ねられるとか。
それにしても、信じられない話です。こんなモラル・ゼロの人間が実在するとは!
韓国といえば、最近、フジテレビの韓国偏重姿勢が何かと話題になっていましたね。
今回の全北サポーターの暴挙については、フジテレビはいち早く報道しました。
これを評価する人もいますし、ただの「ガス抜き」だととらえている人もいるようです。



このニュースを知って、わたしは「礼」のことを考えました。
ブログ「『礼』とは何か」にも書いたように、「礼」は中国で生まれた思想です。
しかし、残念ながら現代の中国には「礼」のかけらもありません。それを痛感したのが、2004年のサッカー・アジア杯における日本戦での中国人サポーターたちの態度です。
彼らの傍若無人のふるまいは、はっきり言って「非礼」「失礼」「無礼」千万でした。
中国人サポーターたちには「礼」のかけらもありませんでした。特に相手国の国歌斉唱時の際にブーイングをしたり、国旗を焼くなどの行為は言語道断です。



今回の韓国サポーターの行為は、それ以上の非礼な行為と言えるでしょう。
なにしろ、東日本大震災という隣国の未曾有の災害を揶揄したのですから。
本来、韓国という国は世界で最も儒教が生きている国です。
孔子孟子を生んだ中国などよりも、ずっと儒教思想が根づいています。
つまり、世界で最も「礼」を重んじる国のはずなのに、本当に残念です。
儒教は中国で生まれ、朝鮮半島を経て、日本へと伝わりました。



現在、わたしは北陸大学の客員教授として「孔子研究」の授業を担当しています。
大勢の学生の中には、中国や韓国からの留学生もたくさんいます。
日本人のわたしが、中国人や韓国人である彼らに「礼」を説いているわけです。
今回、そのことの意義の重大さを改めて痛感しました。
わたしが教えた留学生たちが、中国や韓国に帰って「礼」の思想を広めてくれる。
これこそ、大いなる「天下布礼」だと思います。いや、責任重大ですね。
彼らへの授業の内容は『世界一わかる!「論語」の授業』(PHP文庫)として12月に刊行予定です。じつは昨日、初校をチェックしたばかりです。


もちろん、非礼なのは中国や韓国のサポーターだけではありません。
ヨーロッパにも、そういった非常識な無礼者はいました。
8月19日、サッカーのベルギー1部リーグで、リールセのGK川島永嗣選手に対して、相手チームのゲルミナルのサポーターが「フクシマ」と連呼して挑発しました。
東日本大震災による原発事故に心を痛めていただけに「他のことは許せるが『フクシマ』と言うのは、冗談にできることではない」と川島選手は憤慨しました。
相手を動揺させるためなら何を言ってもいいという輩は、「人間の屑」です。
それにしても、人間失格になるまでサッカーに夢中になる人々の気が知れません。
わたしは、基本的に格闘技以外のスポーツには関心がありませんので・・・・・。
まあ、格闘技にしろ、サッカーにしろ、選手ならいざ知らず、観戦しているだけの者が自分を見失うまで熱くなるのは良くないですね。そんな人、日本人にもいますけど。



ブログ「韓国からの訪問者」にも書いたように、わたしは韓国で何度も講義や講演を行っています。わたしの著書は、何冊もハングルに翻訳されています。
キムチやナムルやビビンバやチゲやチジミも大好きです。
心やさしい韓国人がたくさんいることを、よく知っています。
隣国と仲良くできるに越したことはありません。
しかし、今回の一件は断固として許すことはできません。
もし韓国で大地震が発生し、日本人が「韓国の大地震をお祝いします」というメッセージを掲げたら、どう思うか? ぜひ、韓国の一般の人々に聞いてみたいと思います。


2011年9月29日 一条真也