介護ますます深刻に

一条真也です。

いよいよ、2月になりましたね。先程、月初の本部会議を終えたところです。
昨日は、ブログ「なぜ結婚しにくい?」で人口推計の話題に触れました。
いわば「少子化」がテーマでしたが、日本社会は「高齢化」も大きな問題です。
人口推計によると、高齢化は年々進み、2060年には4割が65歳以上になります。


朝日新聞」2月1日朝刊



今朝の「朝日新聞」には「都市圏の介護 深刻」の大見出しで、「『予防と改善』不意可決」「50年後の人口 4割が高齢者」という記事が掲載されていました。
社会の高齢化で心配されるのが介護問題です。特に人口の多い都市部では、介護状態にさせない取り組みや、貧しい高齢者への対応が課題になっているそうです。
東京や大阪をはじめとした大都市では介護施設は増加していますが、費用が高すぎて入居できない高齢者も多くなっています。
その背景には都市の貧困層の高齢化があります。
高度成長期に地方から来た多くの人を含め、頼れるつてがない人がほとんどです。
本来、寝たきりや認知症になれば特別養護老人ホームグループホームに移ります。
しかし、多くの人は保証人が見つからず、入居費も工面できない現状があるのです。



大都市圏では、75歳以上の人口増大も予測されています。内閣府の07年の調査では、65歳以上の単身者の年間所得は極めて低いことが明らかになっています。
127万円以下の「貧困層」は女性は52%、男性は38%というのです。
記事には、「介護需要15年で1.5倍に」として、次のように書かれています。
「国立社会保障・人口問題研究所がまとめた最新の人口推計によると、2010年に65歳以上は2948万人だったが、2025年には3657万人に膨らむ。このうち、介護が必要になる確率の高い75歳以上は1419万人から2179万人と1.5倍になる。その伸びは東京、大阪など大都市圏で著しい。国が公表した介護ニーズ試算によると、『要介護4あるいは5』という重度者は11年度は111万人だが、25年度は187万人。また、全体の介護給付費は9兆円から21兆円になる見通しだ」



「課題先進国」という言葉があります。
元東大総長で、現在は三菱総研の理事長である小宮山宏氏が提唱しています。
日本は他の先進国に先取りしている問題、課題が山積みであるという意味です。
モデルとなる前例はありません。そのため、日本には過去の経験則では解決できない問題だらけです。それだけに日本が何らの解決策を打ち出せば、それが後に続く世界中の国々を救うことになるわけです。
そして、「課題先進国」としての最大の課題こそ、高齢者の福祉問題です。
これは、もう国や行政だけでなく、広く民間に解決策を求めていく必要があります。



わが社は、今年から介護事業に進出しました。
3月1日には、初の施設である「隣人館」の1号店が福岡県飯塚市にオープンします。
隣人館の月額基本料金は78000円となっています。
その内訳ですが、家賃:33000円、管理費:5000円、食費:40000円です。
まさに、究極の地域密着型小規模ローコストによる高齢者専用賃貸住宅なのです。
この画期的というよりも奇跡のような料金体系は、「介護イノベーター」こと清原晃さんのコンサルティングにより可能となりました。
飯塚市の次は、北九州市八幡西区折尾に2号店を計画しています。当初は自社遊休地へ建設しますが、将来的には伊藤忠商事をパートナーとして全国展開を図ります。
ぜひ、介護が深刻化している大都市圏でも隣人館を展開したいと考えています。



現在の日本における高齢者介護施設には2つの問題があります。1つは、民間の介護施設は費用が高額で、限られた人しか入居できないという問題です。もう1つは、公的な老人介護施設は低額な費用で済みますが、数が少なくて何年も入居を待たされるという問題です。そうなると、もう具体的な解決策は民間が低額な施設を大量に作るしかないわけです。現在でも全国一安い価格設定と話題になっていますが、将来的には「公的年金の範囲内ですべて賄う」という制度設計をめざしています。



わたしは、この事業は「人は老いるほど豊かになる」という長年を考えを実現するものであり、人間尊重を実行するという意味で「天下布礼」の一環であると思っています。
大事なポイントは「孤独死をしない」ということです。隣人祭りをはじめとした多種多様なノウハウを駆使して、孤独死を徹底的に防止するシステムを構築することが必要です。
「隣人館にさえ入居すれば、仲間もできて、孤独死しなくて済む」を常識にしたいです。
全国の独居老人にも、どんどん隣人館に入居していただきたいと真剣に願っています。
いよいよ、長年あたためてきた「理念」を「現実」に移す時が来たと思っています。


2012年2月1日 一条真也