ブッダ・ミッション

一条真也です。

ミャンマー大使館を訪れたわたしたち親子は、大使館に隣接した大使公邸に案内されました。ここで、キン・マゥン・ティン大使御夫妻およびミャンマー仏教界の最高位にあるダッタンダ・エンパラ大僧正が迎えて下さいました。そして、大使と大僧正のお二人からサンレーグループ佐久間進会長が重大なミッションを授かりました。


左からミャンマー大使、大僧正、佐久間会長

佐久間会長に委嘱状が授与されました



そのミッションとは、閉鎖されている世界平和パゴダの再開に向けて「ミャンマー・日本仏教交流委員会」を正式に発足し、委員長に佐久間会長が就任するというものです。
エンパラ大僧正、ティン大使、ミャンマー中央仏教委員会の委員長であるバダンナ・クマラビウィンタ大長老の署名入りの委嘱状を佐久間会長が授与されました。依頼状には、「ミャンマーと日本両国の仏教交流および親善のために、1957年に門司に設立された世界平和パゴダの管理・運営を佐久間進氏にお願いする」と書かれています。


佐久間会長に手渡された委嘱状

立ち合ったわたしも感激しました



これで、ようやく日本で唯一の上座部仏教寺院が再開される道筋が整いました。ブログ「世界平和パゴダ」ブログ「大僧正のお別れ会」ブログ「世界平和パゴダ再訪」などに書いたようにパゴダ再開を夢みてきたわたしの胸には、熱いものがこみあげました。
今月28日にはエンパラ大僧正と2名のミャンマー僧侶が北九州を訪れます。
そして29日にはティン大使も合流して、小倉の松柏園ホテルで「世界平和パゴダ再開に向けて」と題する記者会見が開かれる予定です。


委任状授与式の後は、昼食会が開かれました

大使自らが大僧正にサービスされていました



委任状授与式の後は、昼食会が開かれ、本格的なビルマ料理をいただきました。
どの料理もとても美味しかったです。また、大使自らが大僧正に料理を取ってあげたり空いた皿を下げたりといったサービスをされているのが印象的でした。
仏教国ミャンマーでは、人々は僧侶に対して最高の敬意を払います。
僧侶のトップである大僧正に対しては、大統領でさえ平伏するほどです。
エンパラ大僧正は、すさまじいほどの宗教者としてのオーラを発していました。
わたしが最初にエンパラ大僧正の名を知ったのは、今年1月11日の「読売新聞」に掲載されたコラム「解」を読んでからです。
三蔵法師の憂い」という題のコラムで、次のように書かれていました。
「『私は三蔵法師です』。去年の暮、こう自己紹介する人に東京で会った。西遊記に出てくる玄奘とは関係ない。仏教国ミャンマー(旧ビルマ)で、僧の最高位にいるダッタンダ・エンパラ大僧正(51)だった。
三蔵は経蔵、津蔵、論蔵に分けた仏教聖典の総称で、すべてに精通したと認められた僧だけが三蔵法師と呼ばれる。試験は難しく、敬虔な仏教徒が多いこの国でも、合格者は戦後で12人だけ。ミャンマー人たちは『生き仏』と敬う。
それほどの人物が東日本大震災以外に、日本で心を痛めていることがある。北九州市門司港ミャンマー仏教寺院『世界平和パゴダ』が昨年末から休院になったことだった。設立は1958年。仏塔と僧院があり、かの地から派遣された僧が住んでいた。日本で唯一の本格的なパゴダだった。
運営費を旧ビルマ戦線の戦友会からの寄付に頼っていたが、高齢になった会員の死去が相次ぎ、赤字が続いていた。『戦いに敗れ、飢え死にしそうだった私たちを助けてくれた。その恩を忘れない』。そんな思いで支えてきた戦友会も、半世紀を経て力尽きた。
ミャンマー民主化と改革に向けて動き始めた。日本政府は本格的な経済支援を決め、日本企業も投資先として熱い視線を注ぐ。両国の関係改善がこれから進もうとする時期に、友好の証しだったパゴダの休院は、何とも寂しい。
『両国の友好の象徴がなくなることに等しい。何とか再開できないものか』
憂う三蔵法師を助ける孫悟空は、現れるだろうか」 (西部本社社会部 牧野田亨)


「現代の三蔵法師」と呼ばれるエンパラ大僧正



そう、エンパラ大僧正は、かの玄奘三蔵と同じくあらゆる仏教経典を暗記している超人なのです。暗記する経典の内容は、じつに『六法全書』2冊半ぶんに相当するとか。
ミャンマーの歴史では、これまで50万人以上が「三蔵法師」にチャレンジしましたが、わずか13人しか合格しなかったそうです。
その偉大な大僧正は「ブッダは生きている。パゴダの閉鎖によってブッダの心を閉じ込めてはならない」と言われました。また、「すべては、人が一番大事である。ススム・サクマは、これまで出会った日本人の中で最も尊敬でき、信頼できる人物である」と述べられ、わたしたち親子は非常に感激しました。
わたしは孔子と深い縁を得ましたが、父はブッダと深い縁を結ぶことになります。
これほど名誉なことはありませんし、ブッダの心を日本人に伝えるお手伝いをさせていただくとはこの上なく重要なミッションであると言えます。
もちろん、わたしも「ミャンマー・日本仏教交流委員会」の委員長となる父を全力でサポートする覚悟です。親子で、三蔵法師の憂いをなくす孫悟空となりたいです。


テーラワーダ仏教の本をいただきました



今日は、『テーラワーダ仏教が伝える 慈経』『三帰依と共にある・・・・・テーラワーダ仏教の戒律』という2冊の本を頂戴しました。テーラワーダ仏教とは「上座部仏教」のことで、ブッダの本心に最も近いとされる仏教です。
これから、親子で本を読んで、徹底的に勉強したいと思っています。
そこから、「無縁社会」を乗り越えるヒントもあるような予感がします。
今日は、わたしたち親子がめざす「天下布礼」においても記念すべき日となりました。
すべてを導いて下さったブッダに心から感謝いたします。合掌。


ブッダの本心を伝えたい・・・・・


2012年8月25日 一条真也