人は老いるほど豊かになる

一条真也です。

今日は、北九州市門司区にある「小森江市民センター」で講演しました。
13時からのスタートで、たった今、講演を終えたばかりです。


                  老いることの意味を考える
  
テーマは、「人は老いるほど豊かになる」です。
もともとは拙著『老福論』(成甲書房)のサブタイトルですが、わたしは、もう何十回もこのテーマで講演してきました。

今日もそうですが、報酬は一切いただかないボランティアです。
ただただ、メッセージを高齢者の方々にお届けしたい一心でやってきました。
そのメッセージこそ、「人は老いるほど豊かになる」です。

老い」は人類にとって新しい価値です。
自然的事実としての「老い」は昔からありましたし、社会的事実としての「老い」も、それぞれの時代、それぞれの社会にありました。
しかし、「老い」の持つ意味、そして価値は、これまでとは格段に違ってきています。

これまで「老い」は否定的にとらえられがちでした。
仏教では、生まれること、老いること、病むこと、そして死ぬこと、すなわち「生老病死」を人間にとっての苦悩とみなしています。
現在では、生まれることが苦悩とは考えられなくなりました。
でも、まだ老病死の苦悩が残ります。
わたしたち人間が一個の生物である以上、老病死は避けることのできない現実です。
日本人の「こころ」には仏教の他に、神道儒教も強い影響を与えています。
老い」とは、神道では神に近い翁となることであり、儒教では人間的完成の過程です。

それならば、いっそ老病死を苦悩ととらえない方が精神衛生上もよいし、前向きに幸福な人生が歩めるのではないでしょうか。
すべては、気の持ちようであり、苦悩や不幸はすべて人間の心が生みだすものです。
ですから、これからは「人は老いるほど豊かになる」という魔法の呪文をいつも心の中で唱えて下さいと訴えるのです。
すると、必ず、そうなるから不思議です。

あと二つ、魔法の呪文をみなさんにお伝えしました。
「おめでとう」と「ありがとう」です。
みなさん、とても真剣に聴いて下さり、中には目を潤ませている方もしました。
みなさんの想いが、わたしの心にも響きました。
老人大国である日本、その中でも最も高齢化が進む北九州市において高齢者の方々に「老い」の豊かさについてお話することは自分の大きな使命だと思っています。
なにより、話せば話すほど、わたしは老いることが楽しみになってきます。
まったく、ありがたいことです。
みなさん、ご長寿、おめでとうございます。
そして、今日は、ありがとうございました!


              老いの理想、愉快な老後を考えつくす。


2010年2月24日 一条真也