孔子の言葉

一条真也です。

四大聖人のラストを飾るのは、われらが孔子です。
わたしは、大学で「孔子研究」の講義をするほど、孔子を心より尊敬しています。
儒教の祖であり、中国はもちろん、日本にも大きな影響を与えました。

  
                     孔子は何を語ったか


孔子は、紀元前551年に中国の山東省で生まれました。
母親は、雨乞いや葬送を司る巫女だったとされます。
学問に励み、政治の道を志しましたが、それなりのポストに就いたのは50歳を過ぎてからでした。試みた行政改革が失敗に終わって、「徳治主義」という自らの政治的理想を実現してくれる君主を求め、諸国を流浪しました。
春秋戦国時代の末期であった当時は、古代中国社会の変動期でした。つねに「天」を意識して生きた孔子は、混乱した社会秩序を回復するために「礼」の必要性を痛感し、個人の社会的道徳としての「仁」が求められると考えました。
多くの弟子を教えた孔子は、74歳で没します。
死後、彼の言行は弟子たちが『論語』としてまとめました。



それでは、孔子の言葉を紹介いたしましょう。
なお、( )内は現代日本語訳、「 」内は『論語』の篇名です。
「巧言令色、鮮(すく)なし仁。」(ことば上手の顔良しでは、仁の徳はほとんどないものだよ)「学而篇」
「人の己れを知らざることを患(うれ)えず、人を知らざることを患う。」(人が自分を知ってくれないことを気にかけないで、人を知らないことを気にかけることだ。)「為政篇」
「故(ふる)きを温(あたた)めて新しきを知る、以て師と為るべし。」(古いことに習熟してさらに新しいこともわきまえてゆくなら、人の師となれる。)「為政篇」
「学んで思わざれば則(すなわ)ち罔(くら)し。思うて学ばざれば則ち殆(あや)うし。」(学んでも考えなければ、物事ははっきりしない。考えても学ばなければ、独断におちいって危険である。)「為政篇」
「君子は徳を懐(おも)い、小人は土(ど)を懐う。」(君子は道徳を思うが、小人は土地を思う。)「里仁篇」
「利に放(よ)りて行なえば、怨み多し。」(利益にばかりもたれて行動していると、怨まれることが多い。)「里仁篇」
「父母の年は知らざるべからず。一は則ち以て喜び、一は則ち以て懼(おそ)る。」(父母の年齢は知っていなければならない。一つにはそれで長生きを喜び、一つにはそれで老い先きを気づかうのだ。)「里仁篇」
「徳は孤ならず。必ず鄰(となり)あり。」(道徳のある者は孤立しない。きっと親しい仲間ができる。)「里仁篇」
「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。」(君子は人と調和するが、雷同はしない。小人は雷同するが調和はしない。)「子路篇」 
「過(あやま)ちて改めざる、是れを過ちと謂う。」(過ちをしても改めない、これを本当の過ちというのだ。)「衛霊公篇」


2010年12月1日 一条真也